和歌山県の高野山は、弘法大師が開いた真言密教の聖地です。標高約800メートルにある宗教都市には、観光スポットを巡ったり、宿坊で滞在したり、ご当地グルメを味わったりと、色々な楽しみ方があります。豊かな自然や眺望も楽しめますよ。
1.高野山までの旅路を楽しもう
電車・ケーブルカーで
高野山へは、公共交通機関でも行くことができます。大阪市の南海なんば駅から最寄りの高野山駅までは、途中でケーブルカーに乗り継いで約1時間40分。意外と近いなと思われるかもしれません。特急は座席指定券が必要ですが、ゆったりとしたシートで快適に移動できます。車窓からは、山々に点在する集落なども見え、都会とは違ったのんびりとした雰囲気が味わえます。
ちなみに写真の電車は、「天空」という観光列車です。途中、麓の橋本駅から極楽橋駅までを走っている電車で、展望デッキスペースを設けたり、木の温かみが感じられるような内装にし、高野山への旅がより楽しめるようになっています。南海なんば駅から特急を利用しつつ「天空」にも乗る場合は、麓の橋本駅からこの「天空」へと乗り換える形となり、乗車には予約が必要です。高野山を訪れる際は、この区間観光列車を選択するのも良いと思います。
ケーブルカーとの乗換駅は、極楽橋駅です。ここから高野山駅へは、約5分で到着します。極楽橋駅では、通路の天井に注目してみてください。高野山ゆかりの動植物などが描かれた「はじまりの天空絵巻」があります。「いのちのはじまり」をテーマとした絵巻は、鮮やかな色で生き生きと表現されており、訪れた人に元気を与えてくれます。
終点の高野山駅から高野山の街中へは、バスで向かいます。高野山の深い緑や、寺院などを眺めながら、移動を楽しみましょう。
車で
車で高野山を訪れる場合、麓の和歌山県かつらぎ町から、国道480号線で向かうと良いでしょう。勾配とカーブがある山道を進んでいくので、休憩しながら運転すると良いかもしれません。途中には、飲食店や農産物の直売所も点在しています。
2.寺院や観光スポットを訪ねよう
大門
高野山の総門である大門は、高さ約25.8メートルを誇る大きなものです。現在の建物は、1705年に建てられたもので、門の左右には金剛力士像が安置されています。大門から西の方角を見ると、紀州の山々が連なっていますが、東に少し進むと、いよいよ寺院や民家が立ち並ぶ高野山の街中へと入っていきます。
壇上伽藍
壇上伽藍(だんじょうがらん)は、弘法大師が高野山を開いた際に、まず最初に整備を始めた場所です。中門と呼ばれる大きな楼門をくぐると、金堂や御影堂、不動堂といったお堂が立ち並んでいます。
また、東塔や西塔、大塔といった建築物もみられますが、特に大塔は、鮮やかな朱色で美しく、高野山の代表的景観となっています。この大塔は、真言密教の根本道場のシンボルとして建てられたので、根本大塔と呼ばれています。
金剛峯寺
高野山で是非訪れたいのが、金剛峯寺(こんごうぶじ)です。緩やかな階段を歩くと、正門が見えてきますが、これは金剛峯寺で最も古い建物で、文禄2年(1593年)に再建されたものだそうです。
内部の建物を見学することもできます。入場料を支払い、階段を登ると、広間がいくつも並んでいます。重要な儀式が執り行われる大広間、家庭の仏間に相当し、本尊としてお大師さまを祀る持仏間のほか、梅の間、柳の間といった部屋を鑑賞できます。
これらの部屋でじっくり見たいのが、襖絵です。大広間の襖には、狩野法眼元信によって描かれたとされる群鶴や松の絵が見られます。
広間を眺めながら歩いていると、左手に石庭が見えてきます。これは、蟠龍庭(ばんりゅうてい)と呼ばれているもので、弘法大師ご入定・1150年遠忌の際に造られたものです。2,340平方メートルの広さは国内最大級で、とても見ごたえがあります。白川砂の上に配置された花崗岩や、紅葉など四季折々に変化する樹木との調和も素晴らしいので、じっくりと鑑賞したいものです。
奥之院
奥之院は、高野山を開いた弘法大師の御廟がある場所です。こちらには、現在もお大師さまがおられ、参詣に訪れた人に救いの手を差し伸べているとされています。参道は、一の橋と呼ばれる橋から約2km続いており、こちらが正式な経路ですが、駐車場や飲食店のある中の橋から参詣する人も多いです。
奥之院の裏山から流れる清流・玉川にかかる御廟橋を渡ると、いよいよ御廟のある霊域です。会話を慎み、静かに歩きましょう。静かな杉木立の中を歩き、奥之院に参詣すれば、何か自分の気持ちに変化があるかもしれません。