世界でも有数のコーヒー産地であるインドネシア。オランダ植民地時代にインドネシアに持ち込まれたコーヒーですが、現在では独自のコーヒー文化が花開いており、それぞれの土地にしっかりと根付いています。

インドネシアはコピ・ルアクをはじめ、スマトラ島のマンデリンやスラウェシ島のトラジャ・コーヒーなど、おいしいコーヒーの枚挙にいとまがなく、まだまだ知られていない名産地がたくさん存在します。本記事では、コーヒーの名産地のひとつであるインドネシア・スンバ島のコーヒーについてご紹介します。

西スンバ・ワイジェワ産のコーヒーのおいしさの秘密【完熟度の高いコーヒーチェリー】

【焙煎は自宅で!が基本スタイル】コーヒーの名産地インドネシア・スンバ島のコーヒー事情
(画像=Cafendより引用)

バリ島から東に約400kmの場所に位置するスンバ島は、白檀(サンダルウッド)の産地として知られていますが、西スンバ(スンバ・バラット・ダヤ)のワイジェワのコーヒーもスンバ島の特産品リストに加えるべきでしょう。

スンバ島のコーヒー栽培地として有名な西スンバは、中央スンバや東スンバに比べると涼しく、緑豊かで肥沃な土壌が広がっています。低地が多いスンバ島ではロブスタ種のコーヒー生豆の栽培が盛んですが、ワイジェワのコーヒーは西スンバ一帯の中でも特に品質が良いといわれています。

一般的にロブスタ種は栽培が難しいアラビカ種に対して低価格で、味も品質も劣るものとみなされがちです。しかしワイジェワでは、完熟度の高いコーヒーチェリーのみを使用したり、精製中の発酵過程をアラビカ種と同じにしたりするなどの工夫を凝らし、味も風味も洗練されたロブスタ種のコーヒーを生み出すことに成功しました。

自分好みに仕上げるのがスンバ流コーヒー【焙煎は自らが基本?】

【焙煎は自宅で!が基本スタイル】コーヒーの名産地インドネシア・スンバ島のコーヒー事情
(画像=Cafendより引用)

インドネシアでもジャカルタやスラバヤ、バリ島などでは焙煎済みのコーヒー粉を市場やスーパーマーケットなどで購入できますが、スンバ島のような辺境の地ではそうはいきません。スンバ島の地元のコーヒー愛飲者たちは、いったいどのようにコーヒーを楽しんでいるのでしょうか?

コーヒー生豆を買って自宅で焙煎するのが基本スタイル

スンバ島ではコーヒー生豆の購入から選別、焙煎に至るまですべての過程を自分で行う必要があります。スンバ島でコーヒーを入手したいなら、伝統的な市場に立ち寄ってみましょう。基本的にスンバ島のコーヒーは7月・8月がシーズンといわれており、コーヒー生豆1kg当たりおよそRp.25,000(2019年6月現在、日本円で約190円)ほど。

それ以外の時期であれば、1kg当たりおよそRp.37,000(日本円で約280円)で手に入れることができます。もちろん、地域や店によって多少価格に違いがあるため、品質も価格も納得のいくのものを手に入れたいのであれば、何軒かコーヒー生豆を売っている店をまわってから購入に踏み切ったほうが良いでしょう。

手間ひまをかけて生まれるおいしいコーヒー

【焙煎は自宅で!が基本スタイル】コーヒーの名産地インドネシア・スンバ島のコーヒー事情
(画像=Cafendより引用)

コーヒー生豆を入手したら、今度は選別する番です。市場で販売されているコーヒー生豆は欠点豆といわれる、傷みや虫食いのあるコーヒー生豆が混入されているため、それらの欠点豆を取り除く必要があります。欠点豆が混ざった状態で焙煎すると、できあがったコーヒーの風味に大きく影響しますから、おいしいコーヒーを飲みたいと思うのであれば労力を惜しまないことが大切です。

どんなにコーヒーが好きだとしても焙煎機がある家庭はほとんどなく、コンロとフライパンを駆使して選別が終わったコーヒー生豆を焙煎していきます。勘と経験に基づいて自分好みの焙煎具合に仕上げたら、次はコーヒー生豆を挽く作業に移ります。スンバ島にはコーヒー生豆を挽いてくれる店が存在し、そこに自宅で大量に焙煎したコーヒー生豆を持ち込めば、1kg当たりRp.5,000ほどでコーヒー粉にしてもらうことが可能です。

ココナッツやショウガのフレーバーコーヒーが人気

スンバ島の一般家庭では焙煎時に米やトウモロコシのほか、ココナッツやショウガを混ぜてフレーバーコーヒーを作ることがあります。コーヒーを焙煎するときに米やトウモロコシを混ぜるのは「かさ増し」のためであり邪道だとみなす人もいらっしゃるかもしれませんが、穀物を混ぜたコーヒーはいっそうまろやかで香ばしく、コクのある味わいになるのが特徴です。

さらに、スンバ島の中でも西スンバのように比較的涼しい地域においては、コーヒーを飲んで体を温める人が多く、ココナッツやショウガなどのフレーバーをつけたコーヒーを好む人も少なくありません。