ある日、突然会社や仕事に行くのがいやになってしまう。
これは働いている人誰にでも起こりうることです。
昨日まで、しっかりと働いていた人が何かしらをきっかけに、うつ病のような症状が始まりどんどん元気がなくなってしまうのです。
本記事は、実際に人事異動をきっかけに、不眠からはじまりうつ病の状態が1年続いた私の実体験をもとに、その時起きた変化や初めての心療内科の通院、会社や人事の対応、産業医とのやりとり、回復に至るまでの手記です。
今「仕事行きたくない」「仕事でうつになったかもしれない」と悩む方に、参考になれば幸いです。
1、仕事に行きたくなくなった原因
私の場合は、これは明らかでした。ずばり人事異動です。
新卒で入社してから10年以上勤めてきた会社で、部署の異動は何度も経験してきました。
苦労したりつらい時期ももちろんありましたが、もともと前向きでパワフルな性格。自覚している繊細な面もありますが、ポジティブシンキングで壁を乗り越えてきた経験もたくさん持っていました。
その会社ではどの部署の仕事も楽しく、出会った上司や同僚とも仲良くやっていましたが、35歳の時に久々の人事異動を言い渡され、その辞令をきっかけに、その日から心身ともにつらくしんどい状態になってしまいました。
2、私を襲った11のうつの症状
私は医者ではないので、当時の状態が「うつ」「うつ病」であると断言はできませんが、辞令をきかっけに私の心身に起きた変化とその状況を下記にまとめました。
明らかに人格が変わってしまったと言える11の大きな変化になります。
(1)仕事に行きたくない【うつの症状】食欲減退
食欲がなくなります。喉の奥が詰まって、水を一口飲むのも苦しい状態になります。
お腹も空いているのかわからず、胸が苦しいような状況が続きます。
(2)仕事に行きたくない【うつの症状】吐き気
吐き気に常に襲われます。これは胸の苦しさの反動か、①で何も口にしていないことで胃酸が増えて気持ち悪さが沸き上がってくるのか、嗚咽が止まらなくなります。
(3)仕事に行きたくない【うつの症状】不眠
眠れなくなります。眠ってしまえば考えなくて済むから眠りたいし実際眠いのに、目を瞑って意識が落ちていきそうになる瞬間に、心臓が深くドキンとして恐怖や不安に襲われ眠れなくなります。
(4)仕事に行きたくない【うつの症状】執拗な行動
解決したくて執拗な行動を取ってしまう。私の場合は、体調の変化をすぐに上司に相談していたため、会社が対応してくれることが最短で解決できる希望でした。その結果を得て、早く楽になりたいばかりに、連絡が来るのを待てず何度か自分から「どうなりましたか」と聞いてしまっていました。今思えばこれまでの私なら会社ではとるはずのない行動でした。
(5)仕事に行きたくない【うつの症状】足取りが重い
会社に足が向かない。10年以上務めた会社だったし、好きな仕事だったので通勤をつらいと思ったことはありませんでしたが、その日を境に本当に足取りが重くなりました。体だけは染みついたように「出勤」の行為を行うのですが、気持ちは澱んでつらい心理状態にありました。
(6)仕事に行きたくない【うつの症状】孤独を感じる
同僚から疎外されていると感じる。普通に話しかけられたり、会話してるのに、なんとなく相手が自分のことをよく思ってないのではないかと勝手に思ったり、チームの中で孤独を感じたりしました。
(7)仕事に行きたくない【うつの症状】寂しさを我慢できない
孤独を感じる一方で、安心してコミュニケーションを取れる人への依存も強くなりました。話を聞いてほしい、繋がっていてほしいという気持ちが大きくなり、事あるごとに連絡をしていました。
(8)仕事に行きたくない【うつの症状】集中力低下
仕事をしてても家事をしてても家族の顔を見ていても悲しみと辛さのほうが勝ってしまい、目の前のことに集中できなくなりました。
(9)仕事に行きたくない【うつの症状】好きなことへの興味がなくなる
それまで楽しい音楽やエンタメが大好きで四六時中接していたのに、好きなものほど見ているのがつらくなりました。家族との楽しい時間も、「今は家族と楽しく過ごそう!」と考えるほど、マイナスに脳内がスライドしていくのを感じていました。
(10)仕事に行きたくない【うつの症状】脱力
体力は落ちてるわけではないのに、疲れやすく、すぐソファで横になってしまいがちになりました。自宅でも何もやる気が起きず、フラフラしながら料理や家事をこなしていました。動きもテキパキとは動けず、声のハリもなくなりました。
(11)仕事に行きたくない【うつの症状】涙もろくなる
何かきっかけがあると涙が出て止まらなくなりました。それは、TVの内容であったり、他人の状況であったり、一番号泣したのはそこまで関わりの無かった知人の死で信じられないほど号泣しました。
(12)仕事に行きたくない【うつの症状】不安と悲しみ
このように常に不安や悲しみに苛まれ、いつまでこの状態が続くのだろう、早く解決したい、と常に脳内がその感情でパンパンになってボーっと頭が重たい状況が続きました。
幸いなことに、会社、元同僚、友人、家族など相談できる相手が何人かいたからか、「死んだ方が楽」という考えには至りませんでした。
3、仕事に行きたくない【うつの対処法】
1ヶ月ほどして、これまでとは明らかに違う自分に起こっているおかしな変化を認め、本格的に対処しなければと決心しました。
以下、うつ状態になった私が回復のために行った【うつの対処法】をいくつか紹介していきます。
(1)仕事に行きたくない【うつの対処法】心療内科、精神科への通院
まずは、心療内科への通院を決めました。
1ヶ月かかったのは、これまでのポジティブシンキングで考え方を変えたり、解決してきた経験があるため、そうしようと試みた1ヶ月があったからです。今回は自力では解決には全く至りませんでした。
それまで精神的な病はもちろん、風邪くらいしかひいたことのなかった私にとって、心療内科や精神科への通院は、かなり抵抗がありました。
しかし、人事異動による仕事や環境の変化が原因なのは明らかだったので、実際じぶんが「うつ」含めた病気なのかをはっきりさせて早く回復に向かいたい一心と、あとは自分の心身を守るために「休職」も一つの方法かもしれない、診断してもらい、そのための診断書をいつでも出してもらえるという「安心材料」を手に入れておきたいという自分なりの考えもありました。
しかし、通院して初めて知る「うつ病」の診断の難しさや「休職」のハードルの高さを実感することになります。
①【うつで通院】1つ目の病院
悲しみが空気にも漂ってるような暗い院内に、少々威圧的な雰囲気の医師。
経緯と自分の状況を医師に話しますが、軽い睡眠薬を処方されて終了。
うつ病又はうつに関する病名になるのか聞くと、不眠症ともいえないぐらいの「軽い不眠でしょうね」というような回答でした。
休職するための診断書を出してもらえるか念の為聞いたところ、まずは睡眠薬で様子を見てと言われ、診断書は出してくれませんでした。
②【うつで通院】2つ目の病院
地域巡回診療も行っている小さな医院で、マンションの一室が病院になっているアットホームな病院。
医師も優しい口調で、話しはじめたとたん涙が止まらなくなりました。
「開口一番それだけ涙が出るっていうことはすでに辛い状況なのは間違いないんですよ」という言葉に、私が普通の状態じゃないという証明書をもらったような気持ちになりました。
逆に、1つ目の病院では、私が仕事に行きたくないから休職のための診断書をもらおうとしている人間に思われたのではないか?という疑念まで出てきました。そういうケースは少なくないとのこと。
私の状況から判断して、「一番は元の部署に戻ること」が一番早い解決法だとはっきり断言した医師。
ただ、会社という組織下でそれが容易ではないことは医師も経験から分かっているようで、元の部署に戻ることが必要という診断は書けるが、実際に人事を動せる効力は診断書にはないこと、社員の回復を優先して人事異動を即座に対応するかどうかは会社によること、などを教えてくれました。
私に継続しての就労の意志が強くあったこともあり、まずは1つめの病院で処方された不眠薬に加え、抗不安薬を追加し様子を見ることに。
数週間後に再度通院することになりました。
③診断
薬を処方されたものの、結局飲むのを恐れてしまい、投薬せず勤務を続けていました。
そして2回目の通院で、悪くなる一方の心身の状況を話し、診断書を出してもらうことになりました。
診断書には、
・不眠
・適応障害
と書かれました。症状としてはうつなのですが、「うつ病」の表記以外にも病名は色々あるようで、あとから自分で調べたところによると、私に就労の意志が強くあったことなどから、職場復帰しやすいようにこのような病名にしてくれたのかと思いました。
そして、「配置転換を要する」と私の症状や状況から適切な職場環境に変更するように会社側にアドバイスする診断書を作成してくれました。
(2)仕事に行きたくない【うつの対処法】上司への相談と異動
どう転ぶか分からない賭けでもありましたが、体調不良を上司に報告するのは異動などの対応に繋がる可能性があると思い、念のため報告しました。
ただ、こちらは会社によってガイドラインの用意がある、産業医がいる、などどういった扱いと判断されるか非常に微妙なところだと思いますので、慎重に。
私の場合、診断書が出る前に一度有難いことにすぐに異動をさせてもらっていました。ただ、元の部署ではなくさらに違う部署でした。
結果としては、異動では回復はできず、引き続き通院しながらうつ状態と向き合っていくことになりました。
(3)仕事に行きたくない【うつの対処法】休職
そんな状態のまま、会社には休まず行き、仕事を続けていました。
10年以上務めただけあってか業務は健常者と同等かそれ以上のパフォーマンスでこなしていました。
しかし、その頃の私は、脳内が重たいもやもやに包まれているような、とにかくスッキリせずボーっとなっている状態が常に続いていました。体は動くし仕事もできるため、逆にそのことが、この状態を慢性的なものにさらにしてしまうのかという恐怖に変わっていきました。
そのような状況から、私自身が「早期の回復のためには一度会社を離れたほうがいいのかもしれない」と感じ始めたのもあり、再度通院して医師に心身の状況を伝えました。
そこで、医師から休職のための診断書を出され、休職して治療と回復に専念することになりました。
(3)仕事に行きたくない【うつの対処法】回復するためのポイントを整理する
休職中、仕事をしていない状態がとてもつらく、仕事をすることへの渇望を常に感じた1ヶ月でした。
休みに入ると働きたい欲が強くなり、1ヶ月の休職を経て復職しましたが、結果としては全く回復できませんでした。
この時点で、私の中では直近までいた部署に戻りたいということが一番の理由なのだということがはっきり分かったのと、戻ったところで今まで通りとはいかない(私本人もその確証がないし、受け入れる方も今まで通りとはいかない可能性)ことを視野に入れ始めました。
これまでの症状の変化と経緯が蓄積されてきたので、私は一度「私が回復するためのポイント」を整理してみることにしました。
・仕事はしていないと絶対につらい
・今の会社で継続して勤務していくには、配属先関係なく自身が回復するしかない
・今の会社で与えられる環境では元に戻るのは難しいかもしれない
というポイントが浮かび上がってました。
色々な状況の変化や医師と話す中でこうしたポイントに至り、その観点から
「自分がどんな働き方をしたいのか。どういう生き方をしたいのか。」
を考え始め、明確に言語化することにしました。
その結果、今の会社に残った場合、回復する見込みと、楽しく毎日過ごして行ける未来が見えませんでした。
(4)仕事に行きたくない【うつの対処法】転職活動
私が元の自分に戻るために必要な「自分がどんな働き方をしたいのか。どういう生き方をしたいのか。」が明確に分かったので、それが叶う環境と仕事を今の会社以外で探してみることにしました。
大学卒業以降、転職せず1つの業界しか知らなかった私にとっては、清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟を要しましたが、まずは動いてみようと勤務を継続しながら転職活動を始めました。