体罰、暴言、過干渉……子どもを自分の思い通りに支配しようとする毒親。共働きの増加という社会的背景のなか、余裕をなくし毒親化している人が増えている。あなたは「自分は毒親ではない」と確信をもって言い切れますか?

教育虐待 お受験対策、習い事……、親の幻想が子どもに負担を強いる

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(画像=『女子SPA!』より引用)

神奈川県に住む田中吉政さん(仮名・43歳)は現在、同じ年の妻・真希さん(仮名)と、娘の悠愛ちゃん(仮名・7歳)の3人で暮らしている。悠愛ちゃんは今年小学2年生になったが、学校を休みがちだ。田中さんは娘の不調は、妻の過度なお受験対策による教育虐待が原因だと考えている。

「妻が娘を県内の私立小学校に入学させようと、お受験対策を始めたのは4年前。娘は幼稚園の年中組でした。娘にはもともと体操、絵画教室、英会話を習わせていましたが、さらにそこにお受験対策用の塾も加わったんです」

 悠愛ちゃんの幼稚園は13時からお迎え時間の15時まで自由時間だったが、真希さんは13時に娘を迎え、塾や習い事へと送迎した。

「娘が年長に上がると、お受験対策にもより熱が入りました。小学校受験では試験会場での振る舞いも見られます。お昼休憩もはさみますので、弁当箱の開け方やお箸の持ち方なんかも、根気強く教えていましたね。面接では季節感を問う質問もあるらしく、端午の節句の日に、無理やり柏餅を食べさせているのを見たときはさずがにゾッとしました」

 塾や習い事漬けの毎日でも、悠愛ちゃんは嫌がるそぶりを見せなかったという。しかし、異変は第2志望の小学校に合格し、通学が始まった直後に起きた。

「4月から夜驚症(睡眠中に、突然叫んだりして起きる)のような症状を出すようになり、入学前までできていたひらがなの読み書きができなくなりました。そのうち登校を嫌がるようになって、今は週の半分しか学校に行きません。

 授業やほかの子とお昼を食べるときに相当なプレッシャーを感じるようで、カウンセラーは、過酷な受験ストレスの症状が今になって出ているのではないかと話していました。少し教育熱心すぎるかなと、のんきに構え、妻の教育虐待を止められなかったことを後悔しています」

「子どもの成功は親次第」気づかれにくい教育虐待

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(画像=『女子SPA!』より引用)

「教育虐待は、よその家庭からは“教育熱心な親”と認識されやすく、毒親だと気づかれにくい」と、話すのは教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏だ。

 学歴社会の日本で子どもが将来困らないようにと、子どもの大学受験にのめり込む“教育ママ・教育パパ”は昔からいた。しかし、いい学歴だけでは安泰ではなくなった現在、子どもの教育の指標を見失い焦りを募らせる親もいる。

「最近では、コミュニケーション能力など、ペーパーテストでは測れない非認知スキルの重要性も指摘されるようになりました。『勉強ができるだけではダメ』という風潮が広がり、学習塾のほか、プログラミングや英会話、スポーツを習わせるなど、子どもの負担が重くなっているのです」

 当然、子どもにも個性があり得意・不得意もある。スマホのアプリをインストールするように、子どもに習い事をさせても、できることが増えるわけではない。

「子どもによって特性が違いますから、親が自由にカスタマイズはできない。しかし最近の小学・中学受験などに顕著に表れていますが、『子どもの成功は親次第』という幻想があるのも否めません。子どもをすべてコントロールすることなどできるはずもなく、親は本来無力な存在なのです」

 その事実を知って、本当の意味で子どもと向き合うことが求められているのだ。