何年も前から問題となっている児童虐待。今は虐待サバイバーとして自身の虐待経験をイベントや講演会などで語る当事者も少なくありません。しかし、児童虐待が起こる背景にはさまざまな事情が潜んでいるといいます。今回は児童虐待を未然に防ぐため、家庭訪問型の支援を行っているNPO法人バディチームの代表理事・岡田妙子さんに児童虐待の現場について話を聞きました。

子育て支援・虐待防止を目的とした家庭訪問型の支援活動

子ども虐待は行政だけでは防げない。孤立するママを助ける訪問サービスとは
(画像=『女子SPA!』より引用)

――訪問型の支援という形が珍しいと思ったのですが、2007年にバディチームを起ち上げたきっかけを教えてください。

岡田妙子さん(以下、岡田)「まず、2000年に児童虐待防止法という法律ができました。その法律ができる前までは児童虐待という言葉も聞いたことがなかった時代だったのですが、そのタイミングで虐待のニュースや事件が多く報道されるようになりました。

 それと、私自身、その頃にちょうど妊娠・出産を経験したので他人事ではないと感じて。虐待を受けて育った人は大人になっても心理的に苦しんでいる人がいることも知りました。そう思ったとき、やはり子どもの時期の虐待防止がすごく大事だと思いました。

 それで、自分も何かできないかと考えていろいろと活動を探していたとき、とある地域が養育困難家庭への訪問ヘルプサービスを先駆けでやっていたんです。そこで私もスタッフ登録をして、2年ほど現場で支援をしていくなかですごく手応えを感じたんです。

 家庭の中に入るということで、子どもも親も含めて見守ったりお手伝いをする、そんな支援があるかないかで虐待防止の力が違ってくるだろうと思い、バディチームを起ち上げました」

家庭訪問型の支援でその家庭のニーズに合った家事も行う

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(画像=『女子SPA!』より引用)

――バディチームのホームページを見ると、主な支援方法として食事を作る支援がありますよね。他にはどんな支援があるんですか?

岡田「本当にさまざまです。対象の家庭のお子さんの年齢も産前から18歳までなんです。だからニーズも保育だったり、掃除などの家事だったりします。特にお掃除のニーズは高いです。産前産後で体が動かなかったり、子どもがいると片付けや掃除ができずイライラしてしまうお母さんも多くいます。

 不衛生で掃除ができていない家庭もある一方で、富裕層で高級マンションに住んでいて床の大理石もピカピカに輝いているのにお母さんはそれでは納得がいかないという場合もあります。そのご家庭に一番合ったニーズで支援を行うことを基本としています。

 また、睡眠時間を確保できていないお母さんのために2時間子どもを預かり、その間にお母さんに仮眠を取ってもらうと、その2時間の仮眠前と後だと全然顔が違うんです。『このために生きてきました!』と仮眠から生き生きとして帰ってこられます」