2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』への出演を控えるなど、数々の映画やドラマで今や国民的人気を得ている俳優・中川大志さんが、映画『FUNNY BUNNY』に主演しました。4月29日より映画館とauスマートパスの同時ロードショーという新しい公開形態です。
本作は、ドラマ、舞台、PVなど多分野で才能を発揮する映像作家・飯塚健による傑作舞台&小説の映画化で、ウサギの着ぐるみによる図書館襲撃とラジオ局電波ジャックという2つの事件に隠された謎と、悲しい真実の物語です。謎が謎を呼び、最初から最後まで先がまったく読めない痛快なミステリーが展開します。
その公開を記念して、自殺志願者を見分ける能力を有する自称“小説家”の剣持聡役の中川大志さんにインタビューを実施しました。芝居に向き合う姿勢や、俳優という仕事を続けているモチベーションなど、さまざまなテーマで人気俳優の本音と素顔に迫りました。
僕らが身を削って痛みを感じないと…
――ダークヒーローの主人公は、観る人の共感をいかに得られるかがポイントだと思いますが、それは演じる際に意識していましたか?
中川大志(以下、中川):観ているお客さんが、彼と一緒に危ない橋を渡りたいと思えるかどうかが大事になってくると思いました。映画のあらすじの中に“法に触れるギリギリ”とありますが、剣持とならやってみたいと思うような、説得力。そういう男の背中を表現できるかどうかが、一番のテーマだったかもしれないですね。
――演じてみていかがでしたか?
中川:すごくツラい役だったんですよ(笑)。ツラいし、苦しいし、すごく疲れるし、エネルギーのいる役だったので、大変ではありました。でも、そういう痛みと向き合ってもがき苦しんでいる姿に心打たれると思うし、僕らが全力で苦しんで身を削って痛みを感じていないと、観ている人の心には刺さらないと思うし、撮影はそういう時間でしたね。
幼い頃から、人を笑わせるのが好き
――剣持のキャラクターを作る上で、監督と相談などはしたのですか?
中川:監督とは、言葉や会話で共有する作業はしなかったですね。むしろ、剣持の持っている力強さや説得力をきちんと持たせられるかどうかは、この役を任せられた上での任務だと思っていました。なので、台本からキャラクターの人物像を汲み取りました。剣持は“剣持語録”というように、人に説教臭いことを言ったりするので、観る人の心に刺さるように、ただ痛いことを言っているようにはならないように気をつけました。
――中川さん自身は剣持を演じたことで、何か気づきみたいなものはありましたか?
中川:今回、自分の中で課題にしていたことは何個かあるのですが、それができたと思えたこともあるし、どうだったかなと思うこともあります。完成したものを観たときはいつも、もうちょっとこうできた、ああすればよかったなどと、後から振り返ってみるといくらでも出てくるのですが、基本的にそのときに出てくるものが大事だと思っていますが、毎回毎回、発見と反省だらけですね。
――俳優という仕事は大変なことが多そうですが、楽しめていますか?
中川:それはずっと前から変わらないのですが、基本的にはモノを作ることが好きなんでしょうね。実は小さいときから人を驚かせたり、笑わせたりすることが大好きだったんですよ。それって、エンタメの一番の醍醐味だと思うんですよね。あとは、お客さんのことをずっと考えていますね。どういうリアクションが返って来るかな、とか。観た人たち、これは絶対驚くぞ!とか。そういうところがこの仕事の楽しさですね。