学生時代や社会に出てからも人付き合いの経験はそれなりにある大人の女性でも、ママ友同士のトラブルは結構起きるものです。なかでも特に困るのが勧誘話。実際、生命保険や宗教、投資などにしつこく誘われたという話はよく聞きます。
現在、夫の転勤先の四国に住んでいる五十嵐祥子さん(仮名・36歳)も今から3年半ほど前、娘が当時通っていた幼稚園のママ友からの勧誘に悩まされたひとりです。
最初は親しいママ友として付き合っていたが…
「子供を迎えに行く時間が一緒でよく顔を合わせていたんです。最初はあいさつ程度でしたが少しずつ話を交わすようになり、子供が入園してから2か月後にはほかのママ友も交えてですけど、近所のカフェやファミレスに行くような関係になっていました」
Hさんという問題のママ友は、自分よりも10歳年上。いつも小ぎれいな身なりをしていて裕福そうな印象を受けたとか。でも、それを鼻にかけることもなく、祥子さんは親しいママ友として付き合いを続けていたといいます。
「でも、仲良くなっても話す内容は子供や幼稚園のこと、それと近所のスイーツの美味しいお店とかどうでもいい世間話くらいでした。
ひと回り近く年が離れているのでやっぱり気を使いましたが、頼りになりそうなママ友ができてよかったという風にしか思っていませんでしたね」
しかし、そんなHさんに対する印象がガラッと変わったのは、子供の入園から半年ほど経ったある日のこと。その日の午後、「幼稚園に迎えに行くまでウチでお茶をしない?」と誘われ、歩いて7~8分の場所にあるHさん宅を訪ねたそうです。
はじめのうち普通に雑談をしていましたが、この日は彼女が愛用している日用雑貨、サプリメントなどの話になり、その製品がいかに素晴らしいかを熱心に話してきたのです。
突然のしつこい勧誘に動揺
「な、何なのこのセールストークは?ってビックリしました。いつもと違って通販番組に出てくる人みたいな感じで、話すスピードも普段より早いし、とにかく怖かったんですよ。
とりあえず、今はこの場をやり過ごそうと相槌(あいづち)を打っていましたが、Hさんは私が食いついていると誤解したのかもしれません。商品の話がひと通り終わると、『あなたも興味があるなら買ってみない?』と迫られてしまったんです」
このママ友が絶賛していたのは、いずれも同じ会社の商品。自身が入会して会員になる、もしくは会員を通じて買う仕組みのいわゆるマルチ商法で、祥子さんに入会を勧めてきたのです。
「回りくどい言い方でしたけど、もし入会して商品を販売する立場になれば、今後は私自身も報酬を得られるというメリットについても説明されました。その会社は有名なところですし、名前を聞いただけで私が勧誘のターゲットにされたことはわかりました。
ママ友だと思っていた方にこういう形で勧誘され、裏切られたという気持ちでショックだったし、怒りもこみ上げてきたんです」
ちなみにその会社の製品自体は、品質の優れたものも多くあります。あくまで商品の販売によって会員に報酬が発生する仕組みでネズミ講とは異なり、これ自体に違法性はないそうです。とはいえ、勧誘については会員個人に委ねられている部分が大きく、強引に勧誘してくる人も。このときもHさんもまさにそんなタイプでした。