尊敬できない親と疎遠になる=親を捨てている?

私たちが“親を捨てた”理由。300人アンケートで見えた親子のリアル
(画像=素晴らしい親ならお金も時間もかけられると思う」,『女子SPA!』より引用)

古谷:Q4の「親に毎月いくら援助できますか?」の問いもいい例です。尊敬できる親だったら、自分の生活を切り詰めてでもお金を渡すし、死ぬまで面倒を見ると思うんですよ。でもそうではない。

菅野:確かに。高校生を対象にした「親を尊敬しているか」という調査で、「とてもそう思う」と回答したのは日本では4割を切り日米中韓4か国で最低です。尊敬できない親とは疎遠にもなる。それって、実質的には捨てているんじゃないかなとも思うんですよね。

古谷:私もそう思います。

家族が形骸化しているのに、血縁関係が重視される

私たちが“親を捨てた”理由。300人アンケートで見えた親子のリアル
(画像=「親も反省はしない。だから子もそこまで親に価値を感じない」,『女子SPA!』より引用)

菅野:日本は、家族が形骸化しているのに法的には血縁関係が重視されるので、親を捨てる行為に対する後ろめたさも根強く、その狭間で苦しむ人が多いように感じます。だからQ5「親を“捨てる”を理解できますか?」の問いに、理解できると答えた人が多いのだと思う。

 現代は家族代行業者も出てきていますし、親との関係が苦しかったら外注したり、捨ててもいい。

古谷:Q6の「親と縁を切る」確率が低いのも、捨て方がわからないというのもあると思うんです。そもそも日本に絶縁制度はない。僕は戸籍を抜き、親からもらった名前も変えるという強硬手段に出ましたが、江戸時代のように人別帳から名前を抜く法的離別のためには「勘当制度」を作ったほうが、健全な社会になると思うんですよ。

――では、捨てられた親はどうなるのでしょうか。

菅野:私が取材したケースでは、やはり無縁仏、孤独死などのケースが多いですね。

古谷:因果応報だと思う。親が“子供はいつまでも子供”と思い、所有物のように接してくるのが悪い。私はそうならないように息子に接しています。自分が捨てられないように。