水害は補償の対象になってない場合がある

 住宅にまつわる保険の多くが、火災と風害で被害を被った時にお金が出ることになっています。台風で屋根瓦(やねがわら)が飛んできて屋根を壊して雨漏りがするようになってしまった。竜巻が起きて家が壊れてしまった。こうした風害については多くの場合、今までの火災保険でカバーされることがほとんどです。

 ところが、台風や集中豪雨による水害については補償の対象になってない場合が多々あります。まずはここを調べてもらいたいのです。  なぜなら、台風の被害は、風による被害風災と、雨による被害の水災があり、近年は雨による被害がどんどん大きくなってきているからです。

 水災は、洪水などによる床上浸水などによる被害や、近くの山に大量の雨が降って土砂崩れが起きて家を壊すなど、雨が原因で起こる被害です。保険金をもらうためには、水災による補償が明記されている保険契約でなければ補償されません。

 雨による被害というものは、例えば20階建てのタワマンの高層階に住む家が床上浸水する可能性はまずありません。山や崖から何キロも離れたところの住宅であれば、土砂崩れによる心配もほとんどないでしょう。逆に川のそば、崖や山のそばの住宅は大いに心配です。

豪雨被害ではお金が出ない保険も。自宅・実家の災害保険をチェックして
(画像=『女子SPA!』より引用)

このように、住んでいる場所によって必要な人とそうでない人があるのです。そのため、水災による補償は一律にセットされていないことが多いのです。

 しかし、最近は川のそばでないから安心だと言っていられなくなりました。川が決壊しなくても、川岸から遠い場所でも、内水氾濫(はんらん)の心配があるからです。

 これは、川などから遠く離れているのに、想定以上の大雨が降り、下水道などが処理できる能力を超えてしまったため、降った雨がはけきれずに洪水のようになることを言います。

 特に同じ町内でも坂の上と坂の下の住宅ではリスクが大きく違います。なだらかでもたった5メートルや10メートルの高低差でも、降った雨は低い地域に集中し、そこにある住宅はあっという間に被害を被ることがあります。

 今や日本全国が注目する神奈川県のおしゃれタウン、武蔵小杉や世田谷の一部が2019年にこの内水氾濫の被害を被り、憧れのタワーマンションの住民でさえ電気も水も来ないという日々を過ごしたことも記憶に新しいことですよね。

ハザードマップを確認して

 雨による被害が心配であれば、まずは保険契約に雨による水の被害がカバーされるものになっているか確認しましょう。

 そのためにもまずは各地域で出しているハザードマップも確認しておきたいです。今はネットで見ることもできますし、多くの自治体でハザードマップを無料配布しています。それらによって、自分の住んでいる場所が実は水害の危険性のあるところなのかどうかを判断する参考にしてもらいたいのです。

豪雨被害ではお金が出ない保険も。自宅・実家の災害保険をチェックして
(画像=(画像:千代田区ハザードマップより)、『女子SPA!』より引用)

もしも、リスクがあるのであれば、今までの火災保険、住宅保険に、水災の時にも補償してもらえるように契約の見直しが必要だからです。

 火災保険では、地震による被害は補償の対象外であることはよく知られたことです。これには噴火による被害も対象外であるため、心配して地震保険に入る人も多いです。しかし、その保険料は安くありません。

 それに対して、水災による補償を今までの保険契約に付け加えたとしても、毎年2、3割も保険料が値上がりするということはまずありません。比較的安価につけることができます。ぜひ検討してみてください。

 またハザードマップを見ることは、いざという時に避難する場合の道順も大きな示唆を与えてくれます。近年の豪雨災害の特長として、激しい雨の中、自家用車で避難しようとして水に襲われ車内で命を落とす人が少なくありません。

 大雨の時には遠回りでも安全なルートを選ばないといけない。それを教えてくれるのがハザードマップだったりもします。将来はハザードマップを考慮した災害時のカーナビなんかができるといいんですけどね。