ローマ出身者が「食べたことない」のも珍しくない

 何人かのイタリア在住イタリア人にヒアリングするも、マリトッツォの味を知っている人にはなかなか出会えません。マリトッツォ発祥の地と言われるローマ出身の女性ですら、「大きいバール(イタリアではコンビニ並みに沢山ある、カフェ的な場所)でよく見かけるけど、私は食べたことないの。夫もローマ出身だから聞いてみたけど、そんなに食べないって言ってたわ」(Mさん)との回答。ちなみに中身は、「生クリームしか見たことない」そう。

日本のマリトッツォブームで、イタリア人が驚いた3つのこと「几帳面さが出てる」
(画像=『女子SPA!』より引用)

他にも見たことがない、食べたことがないという人ばかりで「マリトッツォ、聞いたことはあるけど……シチリアのお菓子かな……」(Lさん、フィレンツェ出身)といった返事が続きます。そこで、Lさんの妻でありイタリアと日本、両方の事情を知る日本人女性・Kさん(フィレンツェ在住)に、「イタリアでマリトッツォってどんな存在なの?」と尋ねてみました。

マリトッツォはパン生地の名前! しょっぱい系のアレンジもある

「私もマリトッツォ自体、日本のインスタで見て初めて知りました! 食べたことがなかったので、フィレンツェのバールを何軒か回ってみたんですが、残念ながらどこにも置いていませんでした。もし過去に見かけていたとしても、パンと生クリームでシンプルな見た目だから、素通りしてたかも……」(Kさん)と、フィレンツェの大きな街ですら、目にする機会が少ないお菓子のよう。

日本のマリトッツォブームで、イタリア人が驚いた3つのこと「几帳面さが出てる」
(画像=『女子SPA!』より引用)

Kさんによると、もともとマリトッツォ(複数形:マリトッツィ)とはパン生地の名前。ローマに行けば、このパン生地に生クリーム以外の詰め物を挟んだ“マリトッツォ”を出しているお店もあるようです。「甘いマリトッツォだけじゃなく、生ハムサラダなどが入った“しょっぱい系”もありますよ!」(Kさん)

 古代ローマ時代に生まれたと言われているマリトッツォ生地。当時はもちろん生クリームなんてないですから、長い歴史の中できっと色々なものが詰められてきたのでしょう。ためしにイタリア語の辞書(1999年の『伊和中辞典 第2版』/小学館)で maritozzo を引いてみると、「干しブドウ入り菓子パン」と出てきました。“おばあちゃんのレシピ”では干しブドウを挟んだりするのかも。