転職、昇給、起業するために、MBA(経営学修士)に興味を持っている人は多いと思います。MBAは、「将来の自分への投資」として価値があるということでしょう。「せっかくMBAを取得するなら、世界でも知名度が高い学校へ通おう」と、海外にMBA留学する人は多く、スクールによって費用や内容もさまざまです。ここでは、海外でMBAを取得しようと検討している人に向けて実際の費用対効果などを解説します。

グローバルMBAランキング

毎年、イギリスのファイナンシャル・タイムズ社では「グローバルMBAランキング」を発表しています。これは、同社の選考基準を満たす150校を調査対象として、修了生からの回答をもとに、キャリアや平均年収、MBA取得前と比較した給与の上昇率、授業料など諸費用を比較した費用対効果など、20項目で比較した結果を公表したものです。

2019年、上位100校にランクインしたスクール数は、アメリカが1位(51校)、2位がイギリス(11校)、3位が中国(6校)、4位がフランス(5校)、5位がインド(4校)。残念ながら日本はMBAランキングには入っていません。ランクインしている国々はいずれもビジネス教育および求人強化に力を入れており、求人市場への費用対効果の高さを見せています。

MBAは世界中の企業が知っている学位の一つであるため、自国だけでなく海外でも自分を売り込む武器となるのが特徴です。ただ、一言で〝海外MBA〟と言っても、これだけ学べる学校があり、費用も内容もさまざま。自分が求めている将来に近づき、希望の年収を実現するため、海外MBA取得を目指す前に知っておきたいことを紹介します。

海外のMBAは、昇給・転職にどうつながるのか

まず、海外のMBAを取得していることは、日本では「英語力はもちろん、ビジネス全般の知識がある」と見なされ、昇給・転職に有利です。MBAで課外授業や多くの貴重な経験を積んだとして、ビジネスのスペシャリストとして受け入れられることも多く、会社側もMBA取得を〝社員のステップアップ〟として評価しやすいのでしょう。

MBAを持っているだけで基本給がアップ

会社によって異なりますが、例えばMBA取得者は基本給プラス30万円、また、MBA取得者しか雇っていない会社は転職の際に基本給が高いケースが多いなど、収入面の待遇が良い傾向にあります。

そのため、「MBA=将来の給料を上げるための投資」と考える社会人も多いのです。なかにはMBAの取得をサポートしてくれる育成プログラムがある企業もあり、社会人になってから取得しやすい学位の一つでもあるでしょう。

金融業界でも好かれるMBAの種類

近年、オンラインMBAなども増えていますが、世界トップの金融業界では、年収を数千万円以上稼ぐ社員に関しては「グローバルMBAランキングのトップ20まで、もしくはトップ50までの学校で取得したものしか〝MBA〟として認めない」といった企業内ルールが存在することもあるそうです。

自分が希望する企業の社員が、どこでMBAを取得したのかも下調べすることをおすすめします。

(写真=PIXTA)

海外のMBA取得が実際の給料にどうつながるのか

MBA取得前と取得後の給料の差

ファイナンシャル・タイムズ社の2017年調査によると、2年間でMBAを取得するために平均1,100万円の学費を投資した結果、MBA取得前の平均給与が約700万円だったのが、MBA取得3年後に1,400万円になったというデータが出ています。つまりMBA取得後3年で、平均700万円も年収が上がったことになるのです。

MBAを取得するための学費の平均が1,100万円という点に、驚く人もいると思いますが、年収増加率を見れば、3年後や10年後の年収を長期で考えることが、その後のキャリアやビジネスにおいても大切であることに気付くでしょう。

MBAの取得にあたって学べること 

MBAを取得するための授業は、主にビジネス・リーダーに求められる、経営全般の全体像、論理思考、分析力、問題解決力、他人との関係性など、知識を詰めるというよりも、ケース・スタディー、課外授業、グループ・ワークなど実践的な内容が中心です。ビジネスのスペシャリストとして、金融業界はもちろんのこと、企業の役員/シニアクラス、起業する人には、需要が高いでしょう。

加えて、MBAを取得する特権の一つが、ネットワークの構築です。教授やクラスメイトのほか、課外授業を通じて多くの経営者との出会いがあるため、貴重なコネクションができます。そこから仕事の依頼を受けたり、独立する際に大きなサポートを受けたりなど力強いネットワークを築けることも魅力です。