主演だけでなく、プロデューサーとして本作に携わっているジョニー。なぜこの映画に参加しようと思ったのか尋ねられると「この作品に参加することに迷いはありませんでした。なぜならこれは作られるべき、日の目を見るべき映画だと思ったからです。いまの時代、映画が作られること自体が奇跡だと思います。スタッフのみんなが映画の完成に向けて全力で取り組んでくれました」とし、「伝えたいのは、この作品がいかに大事なストーリーかということです。多くの人が苦しみ、今も世界中で同じことが繰り返されています。そしていま、私たちはウイルスと戦争をしている状況です。見えない敵と戦っている。そんないまの時代に観てもらうべき作品です」と映画に対する強い気持ちを熱く語った。

続いて、どのような思いでこの作品の監督を務めたか尋ねられると、監督は「ジョニーと会ってすぐ、同じメッセージを共有しました。それは、これが作られるべき映画だということです。ユージン・スミスというアーティストの目線を通して、真実を伝えるという作業はとてもワクワクする経験でした」と打ち明けた。

日本からも豪華キャストが集結している本作。彼らと共演した感想を尋ねられるとジョニーは「日本の俳優の皆さんは才能にあふれる方々でした。すべてにおいて期待した以上のことを提供してくれました。例えば真田広之さんは集中力を失わない人。内的に自分を見つめるという俳優としての仕事をこなしていることに感動を覚えました。また美波さんは、自身が演じたアイリーンさんに敬意を示し、彼女の勇気を讃える演技をしてくださいました」とその演技を称賛した。

映画のヒロインのモデルとなったアイリーンさん本人が本作を鑑賞し「本物のユージンとジョニーが重なるところがあった」と語るほど、ユージン・スミスそっくりのジョニーが話題となっている。ユージン・スミスを演じたことについて、ジョニーは「特別な作品を作っているという自覚がありました。ユージン・スミスの生きてきた証、成しとげてきたこと、それらを演じることに責任を感じました」とその心のうちを明かし、さらに監督が「ジョニーにはユージンと似ている部分がある。2人の目にはいつも希望の輝きがある」とジョニーとユージンについて述べた。

映画の製作時と完成した現在。世界が急激に変化する中で、本作に対する気持ちや考えに変化があったかどうか尋ねられるとジョニーは「映画の製作の前後で世界は変わったが自分の中にある情熱はさらに強まりました」と語り、続けて「大切なのは困っている人が隣にいたら助ける、本当はとてもシンプルなことです」と呼びかけた。

最後に日本での公開に向け、メッセージを求められると監督は「この映画がみなさんを触発し、その想いが広く届いていけばと思います。世界中で起きている問題の解決策は実は自分たちの中にあります。人々の利益を考えて行動していきましょう」と述べ、さらにジョニーは「この作品を気に入っていただけたら、楽しんでいただけたらうれしいです。少しでも何か心に触れる部分があればと思います。そして水俣の人たちが経験してきたことを思い起こしてほしいと思います。それはみなさんの近くにもあることです。誰かを助けることはできないか、何かできることはないか、1日数分でもいいから他人に思いを馳せてほしいです」とメッセージを残し、記者会見は終了した。