私たちが最後に一緒に音楽を作ってから、ずいぶん時が経ちました。実に約40年ぶりです。1982年春に活動を休止したのですが、そろそろそれに終わりを告げようと決意しました。前のアルバムと次のアルバムとの間に40年以上の間隔を空けるのは無謀だと言われています。それで私たちは今回、前作「ザ・ヴィジターズ」に続く作品をレコーディングしました。実を言うと、再びレコーディングを行うことに、私たちを駆り立てた最大のインスピレーションの源は、想像を絶するような、いままでに見たことのない壮観なコンサートの制作に関わったことでした。来春、ロンドンの特設アリーナで、デジタルに再現された私たち「ABBA(アバ)」が自分たちの曲をステージ上で演奏する様子を、私たち自身も観客席に座って見ることができるようになるのです。不可思議ですがすばらしいですよね!

この数十年にわたり、何らかの方法で私たちのことを辛抱強く見守って下さった皆さんへ。

大変お待たせしました ― いよいよ新たな旅の始まりです。

「私たちはこれを“ヴォヤージ(Voyage)~航海”と呼んでいますが、正に未知の海原へと私たちは船出しようとしているところです。若き日の自分たちの力を借りて、未来へと旅立つ。言葉で説明するのは容易ではないのですが、これは前例のないものです」

「今回のプロジェクトで、私(ベニー)が一番楽しんだのはどの部分か、それは簡単には言い表せません。皆と共にコンサート制作に携わったことであるとか、あるいは40年ぶりに一緒にまたスタジオへ戻ってきたことであるとか。フリーダとアグネタの歌声を再び聴くことができるのも、このプロジェクトにおける最上級の醍醐味だと思います。このアリーナに足を運んでいただくと、すばらしい10人編成のバンドを従えた私たち4人がそこにいます。たとえ生身ではなくても、クリエイティブ・チームとILMのすばらしい仕事のおかげで、私たちは正にその場に存在していることでしょう」

「2018年に行った最初のセッションは、とても楽しいものでした。そのあとベニーから電話がかかってきて、もう少し歌ってみるのはどうかときかれ、私(フリーダことアンニ=フリッド)はすぐに飛びつきました。それに、あのすばらしい曲の数々ときたら!!卓越した才能にあふれた、正に天才的なこのソングライターたちに、私から敬意と愛を捧げます。このグループともう一度また一緒に仕事ができて、どんなにうれしかったか。この作品にとても満足していますし、ファンの皆さんにも同じように感じていただければと願っています」

「スタジオで再会したときは、これから何が起こるのか、私(アグネタ)には見当も付きませんでした……。でも、ベニーのレコーディング・スタジオは、とても和気藹々(わきあいあい)とした安心できる環境だったので、いつの間にか心から楽しんでいました!この作品を世界の皆さんと分かち合えるときがとうとうやって来たなんて、信じられないくらいです!」

「あの二人は本当に驚くほどすばらしいシンガーで、彼女たちの歌唱力に、私(ビョルン)は完全に圧倒されました。彼女たちは真のミュージシャンです。ポップスターの華やかな面に心を奪われることが全くなく、いまも変わらず、レコーディング・スタジオで創造性を発揮することを大いに楽しんでいるのです。この“ヴォヤージ・プロジェクト”は、色々な意味で、私たちに新たな息吹を吹き込んでくれました」

「では繰り返しとなりますが、お待たせしました!待っていて下さってありがとう!『ABBAアリーナ』で、皆さんにお会いできるのを、そう“お会い”できるのを、楽しみにしています。私たちはこのアバターに、相当な心血を注ぎましたから。私たちは復活したと、そう言っても過言ではありません」

アグネタ、ビョルン、ベニー、アンニ=フリッド

2021年9月2日 スウェーデン ストックホルム

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