三重県伊勢市にある「河崎の町並み」は、レトロな雰囲気を感じながら散策できる観光スポットです。かつて問屋街として栄えた地区には、重厚な外観の町家や蔵が立ち並び、それらを改装した展示施設やカフェなども点在しています。
伊勢市 河崎の町並みとは
河崎(かわさき)の町並みは、伊勢神宮で有名な三重県伊勢市にある、歴史的な景観が残る地区です。市の中心部を流れる勢田川(せたがわ)沿いに広がる町は、その水運を利用し、伊勢の参拝客に物資を届ける問屋街として栄えてきました。
町を歩けば、今でも江戸時代の町家や蔵が見られますが、黒塗りの外観に立派な瓦ぶきの重厚なもので、それらが立ち並んでいる様子は、とても美しいものです。かつての商家や蔵を改装した資料館、お店の他、カフェや飲食店もあるので、散策を楽しむ観光客の姿も見られます。
伊勢市駅から散策スタート!
河崎の町並みを歩いてみましょう。公共交通機関を利用される方は、近鉄山田線・JR参宮線「伊勢市駅」下車が便利です。近鉄の改札口が北側にあるので、こちらから東にある勢田川の方を目指して歩きましょう。
5分ほど歩くと、黒く塗られた町家や蔵が点在する通りに出ます。この辺りは、河崎の町並みの一番南側になります。ここから北に向かって勢田川に沿うように、風情ある町並みが続いています。
特徴的な外観の河崎の町家
河崎の町家には、外観に特徴があります。それは、切妻・妻入(きりつま・つまいり)という造りであることです。切妻とは、アパートなどで見られる三角の長い屋根を途中で切り落したような構造のことであり、その断面である妻側から出入りする建物を妻入りと言います。
伊勢河崎の建物が妻入りであるのは、伊勢神宮にある建物が、平入りといって、三角屋根の側面から入る造りとなっているので、それと同じでは良くないと遠慮したためだとも言われています。
ほかには屋根に設えられた立派な瓦も、河崎の町家の特徴です。屋根の端には、鬼瓦や飾り瓦が設けられていますが、飾り瓦には、隅蓋(すみぶた)と呼ばれる、建物に水が入らないように蓋をする役目を持つものもあるそうです。また商家の建物には、大きな鬼瓦が乗っているそうです。屋根の瓦に注目して歩いてみても楽しいでしょう。
河崎の町家は、市街地の川沿いになるべく多くの家が建てられるように、間口は狭くなっていますが、さきほどより紹介したような特徴により、それを感じさせないほど立派で重厚な外観となっています。
町家や蔵を改装したカフェ・飲食店
さらに歩くと、町家や蔵を改装したお店も見られるようになります。多くの観光客でにぎわう伊勢神宮内宮前の「おはらい町」や外宮の参道と比べると数は少ないですが、カフェやイタリアン、ご当地グルメの伊勢うどん、伊勢えび雑炊がいただけるお店も点在しています。こちらでは、その一部を紹介します。
茶房 河崎蔵
こちらは、「茶房 河崎蔵」さんです。築150年の蔵を改装したカフェで、店内では、コーヒーや自家製ケーキ、スイーツなどがいただけます。
店内は高い天井に立派な梁が通っており、落ち着いた雰囲気だそうです。隠れ家のようなお店で、ちょっと一休みするのも良さそうですね。
牡蠣の朋
牡蠣の朋(かきのとも)は、地元三重県産の牡蠣を使った定食や一品料理がいただけるレストランです。明治時代の町家を改装したお店はシックな印象となっており、店内も落ち着いた雰囲気です。
ランチタイムには、カキフライや小鉢、牡蠣ごはんなどがセットになった平日限定の「平日ランチ(カキフライ)」や、岩牡蠣も付いた、ちょっと豪華な「牡蠣の朋定食」などが用意されています。一品料理やビールなどのアルコール類もあるので、牡蠣を食べながらちょっと一杯飲みたいという方にもおすすめです。
こちらは、筆者がいただいた牡蠣の朋定食(1,870円)です。カキフライや岩牡蠣(生または蒸し)、小鉢にみそ汁、ご飯がセットになっています。
サクッと揚がった大きめのカキフライには、自家製のタルタルソースがかけられており、美味しくいただけるものでした。岩牡蠣は、蒸したものをいただきましたが、ふっくらとした身は適度な塩味なので、何も付けなくても良い味でした。みそ汁にも牡蠣が入っているので、牡蠣が好きな人にはたまらない定食でしょうね。
そしてこちらは、カキフライの平日ランチ(1,430円)です。カキフライ、牡蠣ご飯、牡蠣のみそ汁と牡蠣づくしながら、お手頃な価格になっているのがうれしいですね。平日に訪れたら、こちらを注文してみてはいかがでしょうか。
牡蠣以外のお料理として、自家製のシーフードココナッツカレー、シーフードドリア(各1,650円)なども用意されています。好みや気分によって選んでみてください。