パキスタンの首都イスラマバードは、計画的な都市設計を元に作られた比較的新しい都市です。スタイリッシュンなデザインと、古くからあるモダンな建築物の混在した街は、意外なほど整然としており、散策の楽しさもあります。今回は、イスラマバードの主な見どころをご紹介します。
パキスタンの首都イスラマバード
イスラマバードは、パキスタンの北部に位置する首都です。1947年、イギリスおよびインドから独立した当初は南部沿岸の大都市カラチが首都となりましたが、アラビア海に近すぎる安全保障上の脅威と、暑すぎる気候、そしてインドとの領土争いを抱えるカシミールに遠すぎる距離が問題となっていました。
そこで、それらをすべてクリアできる北部の村「サイドプル」が遷都先候補となり、1969年に名称も「イスラマバード」と改め晴れて首都となっています。「イスラマバード」は現地の言葉で「イスラムの都市」という意味です。
首都となった小さな村は、新鋭的な都市計画に基づいて再開発されました。街は、車道、歩道ともに幅広くとられ碁盤の目に整備。信号を減らすために、交差点は極力立体化されています。また、商業地と住宅地を分けて昼夜の人の流れを細分化するなど、シンプルかつ機能的な都市設計がされています。
さらに、新しい建築物は美的景観を意識しているほか、都市中心部へのリクシャー(バイクの後部にシートと屋根をつけた三輪タクシー)乗り入れを禁止するなど騒音対策も考慮し、緑の多い静かで過ごしやすい街となっています。
それでは、意外なほど美しい都市、イスラマバードの見どころをご紹介します。
ファイサル・モスク(Faisal Mosque)
イスラマバード一番の観光名所といってもいいファイサル・モスクは、1986年に完成した比較的新しいモスクです。
サウジアラビアのファイサル王によって寄進されたため、彼の名前が使われています。
このモスクを建設するにあたっては、実に世界17ヵ国から43件にもおよぶ建築設計案が提出されました。そしてこの壮大なプロジェクトは、最終的にトルコ人建築家のこのデザインに決定しました。モスクとしては珍しいこの外観は、一般的に用いられる伝統的なドーム型とは違い、ベドウィンが砂漠に張るテントをイメージしています。
ムスリムは一般的に伝統を重んじる保守的なイメージが強いですが、世界最大級のモスク建設という一大事に、パキスタンがこの斬新なデザインを選んだことに驚きです。ベドウィンの多かったサウジアラビアに配慮したのでしょうか。
ファイサル・モスクは、モスク内部に15,000人、外には85,000人を収容できます。
青い空と白の大理石のコントラストが壮観です。
79メートルの高さがある4本のミナレットは、天に突き刺すように聳えています。
目を惹く白さのファイサル・モスクは、いつ訪ねても掃除をしている人の姿があり、常に綺麗に保たれています。
特別な合同礼拝の日である金曜以外は、館内への入場はできませんが、金曜は人が多すぎるため、平日に訪ねた方が良さそうです。