「私のほうが上」をアピールし、常に相手の優位に立とうとするマウンティング。他人を見下し、隙あらば嫌味を言ってくる人たちは、一体何を考えているのでしょうか。このコラムでは、マウンティングをする人の心理や特徴、対処法を紹介します。
■「マウンティング」とは?
上司と部下、先輩と後輩など、職場や学校では常に上下関係が存在しますが、それとは別に、立場や関係性を問わず優位に立ちたがるやっかいな人がいます。
「私のほうが上」を言葉や態度でアピールし、常に相手の優位に立とうとするのが「マウンティング」。何かにつけて張り合おうとしたり自慢話ばかりしてきたりするような相手の標的になってしまうと、じわじわと心がすり減っていきます。
今回は、マウンティングする人の心理や特徴をしっかり理解し、対応スキルを身につける方法を考えてみました。
■マウンティングをする人の心理・特徴
あなたの周りにもたくさんいる……!? マウンティングする人の心理や特徴を見ていきましょう。
常に自分が優位に立ちたい
職場や学校で、さらには友人や恋人に対しても、常に自分が優位に立っていないと気が済まない人がいます。マウンティングするという心理は、相手を下に扱うことで、自分を相対的に高く見せたい虚栄心の表れです。
自信のなさを隠したい
自分に自信がない人、不安な人に限って、その心理を隠すために相手をマウントしようとします。人の欠点や失敗を指摘したり、自分ができもしないことを相手に要求したり、「最初からそう思っていたのに」と、まるで起きたことを予知していたかのように振る舞う行為もマウント取りの一種。
相手より優位に立とうとしながらも、自分では何ひとつ生産性のある行動に出ないのも「自信ない系マウント」の特徴です。
周りに自分の能力をアピールしたい
常に周囲に評価されチヤホヤされないと気が済まないという人がいます。そういう人は、自分の能力や手柄をアピールするために、いかに周りがダメか、自分が優れているかを誇示しようとします。
仕事や勉強は本来、他人から自然に評価されるべきこと。自分のことしか考えていないこういう人たちに近づくのは危険です。
人と比較することでしか生きられない
多くの心理学者が「人間は元来、他者と自分を比較してしまう生きもの」だと提唱しています。成熟すれば、他者は他者、自分は自分、と自身を磨くことに集中できるようになるものですが、人と比較することでしか生きられない人は、マウンティングすることによって自己の存在証明を図ろうとします。
実は孤独
心を許せる友達がいなかったり、いくら褒められても満足できなかったり……他者をマウントすることでしか生きられない人の心の中は、実は空っぽ。自分がいくら優位に立ち、相手をおとしめても、その人自身が満たされない限り孤独は埋まりません。
■マウンティングをされやすい人の特徴
マウンティングをされやすい人にも傾向があります。もちろん悪意を持ってマウンティングをするほうが悪いのは言うまでもないので、当てはまっていても気に病まず、後述する対処法を参考にしてみてください。
自分に自信がない
自分に自信がない人は、マウンティングされやすい傾向にあります。地道に勉強して仕事を着実にやっていても、自信のなさが表に出てしまうと、マウンティングされてしまうことも……。
自己主張が少ない
大きなプロジェクトがうまくいったとわかった瞬間、何もしていないマウンティング型上司にすべてを持っていかれた……という経験がある人も多いようです。何日もかけて人が作った資料を、会議であたかも自分がすべてやったかのように振る舞う人、いますよね。そこで「しょうがない」と思ってしまうと、毎回、上司の手柄に。
人がいい
地位や名誉にこだわらず、人が良くてみんなに愛されるタイプの人が、いつの間にかマウンティング型の人にボロボロにされてしまうということも起こりえます。マウンティング常習犯は「怒らない人」「反撃してこない人」を嗅ぎ分けるのがなぜかうまく、一旦そう判断されると恰好のターゲットになってしまうことも……。
客観的に状況判断ができない
マウントされている状況に気付かないまま、いつのまにか組織の一番下でこき使われてしまっているケースがあります。明らかに自分がやるべきでないことを押し付けられていても、一生懸命頑張ろうとしてしまう。常に見下される言葉をかけられても、笑顔で対処してしまう。そんな状況が定着すると、「これはおかしい」と気づきにくくなっていきます。
■マウンティングされたときの返し方・対処法
スルーする
マウンティングしてくる人は、言葉や情報操作を駆使して、自分が気持ちよくなるために相手を利用します。真面目に対応したり、反論したりすると相手の思うつぼ。「そうなんですね~」と軽く応答して話題を変えたり、その場を離れるなど、スルーは最大の攻撃と心得て、反応しないようにしましょう。
味方を探す
マウンティング型の人と真っ向から向き合っても、泥沼化するだけです。あなたの仕事や日々の生き方を知っている人を味方につけて、たとえマウントされても「◯◯さんはちゃんとやっている」と客観的に助けてくれる人を探しましょう。人の手柄を自分の功績のように語るマウント型の人よりも、他者の正当な評価によって成長していく人のほうが、結果大きな成果を得られるようになります。
相手を「かわいそうな人だな」とあわれむ
人を見下し、自分の自信のなさをマウンティングすることでしか解消できない人は、惨めでかわいそうな存在です。相手に対する怒りは自身をむしばみますが、あわれみと軽蔑の心を抱いて接すれば、自身はマウントをとることなく、相手との精神的な距離をつくることができます。
社内や組織の正当な窓口を利用する
職場でのマウンティングのせいで仕事が捗らなかったり評価に影響が出たりしている場合は、社内外にある相談窓口を利用するのも手です。マウンティング=パワハラと認定されれば、相手を正当な形で異動させることができるかもしれません。その際に必要なのは正確な情報です。少なくとも1カ月分の状況や言動、具体的な内容を文書に残し、提出できるようにしておくことが大切です。
■マウンティングに巻き込まれないために
マウントしてくる人に巻き込まれると、自信を失い、本来の力を発揮できなくなってしまうこともあります。
最も気をつけなければならないことは、自分が誰かにマウントされているからといって、自分も他者をマウントしないことです。負の連鎖は自分にも返ってきて、結果同じ穴のムジナになってしまいます。
今回ご紹介した、マウンティングしてくる人の特徴と心理をしっかり理解し、スルースキルと正当な反撃方法で、自分の大切な時間を奪われないようにしたいですね。
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