栃木・宇都宮駅からバスで約30分。「大谷資料館」は大谷石(おおやいし)の採石場跡に設立された博物館です。一般の人が見学できる採石場跡には巨大な石造の地下空間が広がり、まるで異世界の地下宮殿か地下ダンジョンのよう。その幻想的な空間は映画やPVの撮影地としても多数活用されています。
真夏でも約10℃と涼しい大谷資料館。近くには岩壁に彫られた大観音像がある大谷寺や体験型施設、大型ショッピングモールも設立され、今や一大観光地として変貌を遂げています。「宇都宮といえば餃子でしょ」―そんな認識を覆す人気スポット・大谷資料館の魅力を、大久保恭利館長の案内のもと余すところなくお伝えします。
大谷資料館とは?
大谷石の採石場跡に博物館としてオープンしたのが、大谷資料館です。大谷石とは栃木県宇都宮市大谷町に分布する凝灰岩で、約2千万年前の火山噴出で堆積したといわれているもの。軽くて軟らかいため加工しやすく、さらに耐火性・防湿性に優れているため、古くから外壁などの建材として利用されてきました。
旧帝国ホテルの建材としても使用され、1923年の関東大震災でも被害が軽微であったことから全国的に知名度が上がりました。第二次世界大戦勃発により採掘が中断された後、採掘場の地下空間は軍事目的で利用され、戦後は政府米の保管庫として利用されてきましたが、1979年、博物館としてオープンし、初めて一般に地下採掘場が公開されたのです。
大谷資料館の館内を解説
資料館入口の手前には展示室があり、資料館に入る前にぜひ見ておきたい場所。大谷石の採掘技術の推移や歴史に触れることが可能。大谷石とほかの石質を触って比較するコーナーもありました。
資料館入り口左手が、展示室入り口です。
石を切り出す時に使った道具の数々。
いざ、資料館へ。一歩入ると階段があり、その下にはひんやりとした地下空間が広がっています。面積は約2万平方メートル(140×150m)で、野球場が1つ入ってしまうほど。深さは平均30m、最深部分は60mです。