ペットを家族の一員として、大切に飼っている家庭が多いと思います。ただ、健康保険制度がある人間と違って、ペットが病気になった際には、高額の治療費が必要です。そのため、ペット保険へ加入する人が増加していますが、トラブルも多く発生しています。トラブルの事例、注意点などを詳しく説明します。
ペット保険とは何か
犬や猫を飼っていると、もっとも心配なことは病気やけがの際の治療費です。高額な治療費を補うために、最近では日本でも多くのペット保険が登場し、加入が増えてきています。
ペット保険は1947年、イギリスで誕生しました。その約30年後、日本でも無認可共済という形でペット保険が扱われ始めましたが、実際には保険金の未払いなどトラブルが絶えませんでした。
そのような背景から、2008年に施行された「改正保険業法」を機に、免許を伴う保険会社か少額短期保険業者のみがペット保険を取り扱えるようになりました。
これによって、経営的に安定している保険会社などが販売するペット保険が主流となり、現在に至っています。
ペット保険自体の歴史が浅い日本では、2013年現在の加入率は4.1%に過ぎませんが、ペットを家族の一員とする考えが近年確立しつつあることから、ペットの病気やけがと言った不測の事態に備えるために加入する人が今後増える可能性もあります。
もっとも多いトラブルとは
保険に加入するうえでもっとも注意したいポイントは、「免責事項」です。免責とは、文字どおり「責任を免じられる」、つまり「責任を取らなくていい」という意味。では、誰が責任を取らなくていいのかというと、保険に入った人ではなく、保険会社のほうです。
毎日テレビで、保険会社のCMが流れています。「入院初日から保険金が支払われる」、「同じ病気で、何度でも手術代が支払われる」など、関心を引くような言葉があふれています。ただ、これを額面どおりに受け取ってはいけません。保険には、必ず「ただし○○の場合は、保険金が支払われない」とする、いわば「例外」が存在します。これが、「免責」です。
ペット保険も保険の一つですから、当然「免責」があります。特にペット保険で注意したいのは、「免責金額」です。
ペット保険の「免責金額」とは
「免責金額」とは、免責がいくらまでかという範囲です。分かりやすく言い換えると、保険の加入者が自己負担しなければならない金額のことです。
一般的にペット保険では、飼っているペットが病気やけがをした場合に、補償される金額に免責金額が設定されています。数千円から2万円程度ですが、同じ保険会社のペット保険でも、掛け金が安ければ、この金額が高くなります。
つまり、実際にかかった治療費に対して、保険会社の免責金額が高くなるのですから、保険加入者の負担が増えることになります。
いざというときに保険金が下りないことも
どんなに掛け金が安くて魅力的でも、免責金額を十分に理解していないと、実際に保険を使って治療をしたいときに、思わぬ出費を強いられることになるのです。
例えば、治療に2万円かかったとします。飼い主は獣医師に治療費を支払い、その後診断書を取って、保険会社に保険金を請求することになります。このとき、実際に治療した病気の「免責金額」が治療費の2万円より高ければ、保険金が下りません。
保険契約書や約款、重要事項説明書などを十分確認しないと、せっかくの保険が利用できないことになりかねないため、加入の際には必ず確認をしましょう。