本棚を覗いて「もしかして不倫とかアリなタイプ?」
調子に乗って、塩谷さんの背後に映った本棚にまで目をつけた上司。並んでいる書籍のタイトルを勝手に読んでは、勝手に分析を始めます。
「禁断の恋? もしかして不倫とかアリなタイプ? 意外だな~照れちゃうな~」(上司は既婚者、塩谷さんは独身)。スキルアップのために買った専門書を見ては、「なに? 独立とか考えているの? キミがいなくなったら寂しい……」と一人でしょげているそう。もはや、聞いているだけでもドン引きです。
「ほかにも、ゲームやボーイッシュな服があると、『彼氏できたの?』『そういった子どもっぽい物を好む男性は、キミとは合わない気がする』と、こちらが話題に出してもいない恋愛話を始めるんです。 見える位置に物を置いていた私も悪いので、背景をバーチャルにしたり、カーテンをつけたり、色々試行錯誤したんです。でも、その度に『今日は部屋見せてくれないの?』『俺の小さな楽しみを奪うのか(笑)』って、冗談っぽく言ってくるのですが、それが冗談に聴こえないから怖くて」
社内には他にも“リモハラ”被害者がいた
「同じように上司の“リモートセクハラ監視被害”に遭っている子は2~3人いて、部屋を隠すとやはり『〇〇を見せて』と要求されたり、質問攻めにあっているみたいで……」
オンラインを介してのまさかのリモート・セクシャル・ハラスメント。じつは塩谷さんの話は、他人ごとではありません。エイネット株式会社が首都圏で働く500名にアンケートを行った『2021年リモハラ・テレハラ実態調査報告書』では、「リモハラ・テレハラを受けた、あるいは目撃したことはありますか?」という質問に、約22%の方が「ある」と回答。およそ5人に1人がリモハラやテレハラを経験、または遭遇したことがあるという結果に。
塩谷さんのケースのように、室内の様子を映すように要求される、または部屋の様子から個人情報を収集されるほか、服装や体型の指摘、一対一のオンライン飲み会に強く誘われる、SNSでの個別の繋がりを求められるなども「リモハラ」(リモートハラスメント/リモートワークハラスメント)、「テレハラ」(テレワークハラスメント)に該当します。