出産を取り扱ったドラマ「コウノドリ」でも取り上げられた「産後うつ」。慣れないかつ思い通りにいかない育児に翻弄され、うつ状態に陥る確率は10%~20%とも言われています。そこで今回はそんな「産後うつ」とは無縁でいるためにできることをご紹介します。
■出生後に何らかの障害が見つかる可能性は3%
出産予定日まで残り約1カ月となった。
入院準備はもちろん、産まれた後に必要な品もすべて揃え終わった。今は産後の家事や食事の手配、そして産後の生活のシミュレーションを進めている。
各種手当の申請や産後2カ月で預ける保育園の入園手続き書類も記入済だし、一通りの準備は済んだ状態ではある。
ただ、自分が思い描いたとおりに物事が進まない可能性も、覚悟している。
「出生後に子どもに何らかの障害が見つかる可能性は約3%です」
出生前診断を受けた際に、カウンセラーからそう説明を受けた。もし子どもに何らかの深刻な障害や病気が判明した場合、仕事を続ける続けないの判断もしないとなあということを頭の片隅に入れている。
■出産後は「想定外」な出来事の連続
たとえ子どもが健康に産まれたとしても、身の回りの友人、ブログなどで見聞きする限り、出産後は「想定外」な出来事の連続のようだ。
赤ちゃんの性格によっては、いくら寝かしつけのトレーニングをしてもまったく寝てくれないという。そのため極度の睡眠不足に陥り仕事がままならず、泣く泣く退職したという人の話も聞いた。
他にも
・母乳で育てるはずが、母乳が出ずにやむをえずミルク育児になった。
・夫が育休をとるはずがとれなくなった
・自然分娩の予定が急きょ帝王切開となり入院期間が長引いた
・産後の肥立ちが悪かった
など、何かしらの「想定外」が巷に溢れている。
とにかくこの「想定外」は人それぞれで、実際に産んでみないとわからない。それがここ数カ月、私が20人を超える先輩ママさんに話を聞いたり、出産・育児ブログを多数見聞きした結論だ。
■辛くなったら、少しでも早く周囲に協力をお願いする
そんな「思い通りにいかない」現実にぶちあたった時、心がけたいことがある。
それは少しでも早く「声をあげて周囲に協力をお願いする」ことだ。
育児に関するトラブルでいちばん怖いなぁ……と思ったのは、自分自身が病んでしまうこと。
生まれたての赤ちゃんは、母親・父親の世話がないと生きていくことができない。つまり、親がダウンしてしまうことが、赤ちゃんにとっても深刻なダメージになる。
出産を取り扱ったドラマ『コウノドリ』でもとりあげられた、母親が疲弊して発症する産後うつ。その発生確率は、厚生労働省の平成25年度の調査によると約10%だ。
発症してしまう原因は「家事も育児も完璧にこなしたい」と母親が自分を追い詰めてしまうことに起因する。子どもが泣き止まずかわいく思えないどころかうとましく思う、ただそんなうとましく思う自分を責めてしまう……。
産後うつを患った方の声はとても生々しくて、
「自分は、そんな精神状態にならない」とは決して言えないなと身震いした。
だからこそ「辛くなったら声をあげて周囲に協力をお願いする」ことがとても重要だ。
今は公的機関のサポートも充実していて、電話や訪問でうまくいかない育児の悩みの相談を聞いてくれる窓口がある。子どもを一時保育してくれる場所も、たいていの地域には探せばある。
■「他人に頼る」は決して悪いことではない
産後は出産による肉体的なダメージやホルモンバランスの崩れ、慣れない新生児の世話に翻弄される。
産まれてきた新しい大切な命のためにも、母親自身が肉体的・精神的にも安定していることも重要だ。
自分ひとりで何とかしようと決して我慢しないこと。
辛い時は積極的に周囲に助けを請い、時には子どもを預けてでも、自分の疲労回復に努めること。それが「産後うつ」を防止する鍵だと私は考えている。
周囲の助けを借りながら、無事に産後の「想定外」を乗り切り、「産後うつ」とは無縁でいたい。そして親子ともに健やかに過ごせるようにと思っている。
最後に、『eヘルスネット』の「妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療」より「産後うつ」に関する現状について記載されている箇所を紹介したい。
お母さんがこんな状態におちいっているのに、周囲は「妊娠・出産や子育てが大変なのは当たり前」と考え、お母さんの苦しみを軽視してしまうことがあります。またお母さん自身も「調子が悪いのは自分が不甲斐ない母だからだ」「子育ての悩みを周囲の誰も解決してくれない」と決めつけ、「妊娠中や授乳中に薬などの治療を受けると赤ちゃんに悪影響が起きてしまう」と心配になり、受診をためらいがちです。その結果現在のところ、うつ病になった妊産婦の方は適切な治療を受けていない場合が多いようです。
出典: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
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