ロボットアドバイザーに関する最新の調査から、ウェルス・マネージメント産業も過去に例を見ないほどの勢いでデジタル化していること、ロボアドの採用がよくも悪くも大きな影響をおよぼしていることなどが明らかになった。
「より多くの顧客に対応できる」という点でロボアドは重宝されているが、コスト面や利益面を含め、「テクノロジーにつきもののリスクは消えない」との指摘もある。
リスクをともなうのはテクノロジーも人間も同じ?
個人向け資産運用サービスを自動化することで、投資産業の常識をくつがえしたロボアド。特にテクノロジー世代であるミレニアル層を魅了し、新たな顧客層の開拓に成功した。
ATカーニーはロボアドによる運用資産額が、米国だけでも今後4年間で2兆2000億ドル(約226兆5780億円)に達すると見こんでいる。
他分野でもデジタル化が進む中、効率面では文句なしのように思えるロボアドだが、「現実と理想の隙間」は根強く横たわっているようだ。
英FinTech情報サイト「FineExtra」が米ソフトウェア企業、EPAMの協力で実施したサーベイでは、回答者である従来型のファイナンシャル・アドバイザー、あるいは実際にロボアドを採用している企業から、アルゴリズムの脆弱性によるプログラムの不具合や設計ミスが、「誤ったアドバイスや商品販売、個人情報の流出などを引き起こすかも知れない」との懸念が指摘されている。
しかし「リスクという点ではどんなテクノロジーも同じ」との反論もあり、投資アドバイスについても、「人間のファイナンシャル・アドバイザーならば、常に適格なアドバイスができる」というわけでもない。
逆に「デジタル化されていた方が、様々なデータを収集・分析できるため、効果的なアドバイスが行える」との声もある。
また「似たような銘柄に投資が集中しやすい」という問題点にも、焦点が当てられている。
もうひとつ、ロボアド企業が頭を悩ませているのは、ロボアドによる利益の低さだ。そもそもロボアド自体が小口投資向けに開発されているうえ、ロボアドを提供している企業の多くが、無料あるいは破格の手数料でサービスを行っている。
顧客数は増えても、利益につながるには相当の時間を要する。消費者にとっては「安上りな投資」だが、供給側にとっては「割高な事業」ということになる。
こうした背景から、様々な面でより信頼性が高く、低コストで運営可能なロボアドが、今後開発されることへの期待が高まっている。
文・ FinTech online編集部/ZUU online
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