日本には気候現象をつかさどる神様は沢山います。雲を追い払う風の神や、雨を降らせたり止ませたりする水の神。あるいは季節の変わり目を知らせる雷の神など。けれども日月の巡りを読んで暦をつくり、気象全体をつかさどる神についてはあまり知られていません。今回は気象の神様・思兼命(おもいかねのみこと)をお祀りする神社を3つご紹介します。
1.「気象の聖地」と言われる気象神社(東京・高円寺)
高円寺の気象神社は、気象の神様を祀る全国でも数少ない神社の一つ。気象関係者や気象予報士の受験生、あるいは「この日は重要な試合があるので」とか「登山の期間中の天候について」祈る絵馬が多く掛けられており、「気象の聖地」となっています。
気象神社はもともと、旧陸軍気象部の施設内に設けられていました。正しい気象予測が出せることを祈ったり、悪天候により国民が苦しむことがないように、また気象により国の方針を曲げられることがないようにと祈ったのです。
ご祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)。『古事記』にも登場する古い神様です。太陽神・天照大御神が岩戸にお隠れになった時に、大地は暗くなり災害がおきました。これが長く続いてはいけないと、岩戸からお出ましになるよう策を講じたのが思兼命でした。
気象神社が鎮座する高円寺氷川神社
気象神社は高円寺の氷川神社の境内に鎮座します。氷川神社は素戔嗚尊(すさのおのみこと)をご祭神としています。高円寺駅から歩いてすぐなので参拝しやすい場所にある神社です。
2.天空の楽園に一番近い阿智神社(長野)
日本一の星空が観られると有名な長野県のスタービレッジ阿智。そこから6.5Km東に阿智神社(あちじんじゃ)はあります。思兼命は別の名をアチヒコといい、その名を冠した神社です。
社伝では、第八代孝元天皇五年春正月、天八意思兼命(あめのやこころおもいかねのみこと)が御児天手力男神(あめのたじからお)と天表春神(あめのうわはるのみこと)を引き連れて信濃国阿智の里にお降りになったとあります。神社から里の風景が一望できるスポットです。
ちなみにスタービレッジ阿智では、ナイトツアーを開催しておりゴンドラで標高1,400mまで上って星空鑑賞ができます。冬には澄んだ空気や雪原の中で、存分に星を楽しめます。星読みでもあった思兼命は、星が美しいこの土地に舞い降りて何を観察したのでしょうか。