40歳を迎えたKさんは、意を決して転職することにしました。年齢的な不安はあったものの、必死の転職活動の末、なんとか希望どおりの職種に就くことができました。転職したことで、それまで仕事で抱えていた悩みは軽減されましたが、今度はお金に悩まされることに……。
転職で家計がピンチになってしまった理由
転職をきっかけに生活が苦しくなってしまったKさんですが、詳しく話を聞いていくと、次の3つの要因が見えてきました。
原因1.転職先が決まる前に退職した
転職するときは、いったん会社を辞めてすっきりリセットしてから転職活動に臨む、という方もいますが、基本的には「辞める前に次を見つけておく」のがおすすめです。日に日に貯金が減り続ける中での転職活動は、金銭面だけではなく精神面でもつらくなってしまいます。
Kさんは「貯金がないわけではないし、会社を辞めても退職金や失業手当があるみたいだから当面しのげるだろう」と思っていたようですが、フタを開けてみれば、失業中の生活費だけではなく老後の支えにも回すはずだった退職金は300万円しかなく、失業手当(雇用保険の基本手当)も自己都合による退職の場合は手元にお金が入るまで4ヵ月ほどかかることが判明。
しかも、入ってくるお金が想定より少ないことに気が付いたのは、退職日を決めて会社に伝えたあとでした。これではどうしても焦ってしまいます。
原因2.転職活動に思ったよりお金がかかった
さらにたいへんなことに、転職活動で「出ていくお金」は想定より多くなりました。これまで比較的ラフな服装で仕事に出かけていたKさんは、転職活動のためにスーツや靴などを新調、さらに交通費、履歴書に貼る写真代、郵便代などこまごました出費が続きます。
さらに、退職から次の会社への入社までのあいだが空くと、その期間の社会保険料は自分で納めなくてはなりません。在職中は給与天引きされていた住民税も自分で支払います。収入がない中での万単位の出費はかなりの負担感だったでしょう。
原因3.収入見込みを甘く見積もっていた
Kさんは「転職しても今の会社と同じくらいの年収だろう」と考えていましたが、その読みが外れて大幅な年収減になってしまいました。
額面と手取りは違いますし、残業代の有無やボーナスの金額は会社の状況次第です。年齢や前職の給与が関係することもあります。求人サイトで見た「年収例」は参考程度にとどめておき、手当やボーナスに過度に期待しすぎないことです。
ただ、転職後の収入はその後の生活設計上とても重要ですので、できれば転職面接のときに確認しておくか、不安なら転職口コミサイトなどでリアルな情報を収集しておくとよかったかもしれませんね。
生活改善のためにできること
厳しい言い方かもしれませんが、Kさんは持っている情報が少なく、全体的に見通しが甘いまま転職したため、お金の「想定外」がいくつも発生して生活が苦しくなってしまっているように見受けられました。その過去はもう変えられないので、当面の暮らしをしのぐ方法を考えねばなりません。
今までのお金の使い方を見直そう
これまでどちらかというとお金に無頓着な方だったKさんですが、今回のことでお金に向き合わざるを得ない状況になりました。どうせならこれを機に、徹底的に家計改善を図りましょう。
まずは、自分の支出を見直し、削れるところがないか厳しくチェックしてみましょう。特に、住居費、スマホ代、保険料など毎月一定額を支払う「固定費」の見直しがおすすめです。
場合によっては、家賃の出費を抑えるために引っ越しをしたり、一人暮らしをやめて隣県の実家に戻ったりすることを視野に入れてもいいでしょう。
「次の転職」を考えるのは慎重に
転職に失敗したかもと思うと、すぐに次の会社への転職が頭をよぎるかもしれません。でも、これは慎重になった方がよいでしょう。短期間での転職は選考で不利になることも多いです。
心身の健康を脅かされるようなブラック企業であれば話は別ですが、そうでなければしばらく耐えてみて、成果を出してからまた改めて考えるというのが無難でしょう。もしかしたら、仕事の頑張りを認めてもらえて昇給するかもしれません。
とりあえず転職先の企業で収入アップを狙うため、就業規則などをよく読んで、昇給に繋がるポイントを探してみてはいかがでしょうか。会社によっては、資格手当や営業手当など、一定の条件をクリアすることでお給料が上がるシステムになっているところもありますよ。