「何に投資しているのかは分かりません」

結局のところ、儲かればどんな運用でも良いということなのだろう。しかし、銀行が金融商品を販売するにあたり、本当にそんな姿勢が許されるのだろうか。

冒頭で指摘した「グローバル・マクロ」は、株式や債券、金融派生商品などを駆使し、相場の上げ下げにかかわらずプラスの運用を目指すものである。投資家は自分の資金が一体何に投資されているのか分からない。あるときは新興国の債券に投資され、あるときは原油などの商品に投資され、あるときは日本株のカラ売りに投資されるのかも知れない。

そんな投資信託の運用を予想することができるだろうか。

ベンチマークの設定されていない投資信託の買い時、売り時をどのように判断するのか。ましてや今後のパフォーマンスを予想することなど全く不可能だ。あえて言えるのは、その投資信託の過去の成績だけである。しかし、過去の成績が、必ずしも未来の利益に直結しないのが投資の世界だ。

そんな投資信託をどのようにセールスするのだろうか?

「何に投資しているのかは分かりません。でも、過去の運用成果は良いんです。これから先はどうなるか分かりませんが…」あなたはそんな銀行員のセールストークに納得できるだろうか。

投資の面白さは「自分で考える」ことである

「売れれば何でもいい」そう考えている銀行員が増えてはいないか。

私の周囲でも件の「グローバル・マクロ」を取り入れた投資信託の導入を望む銀行員は多い。それが売れているのなら、是非とも自行で扱いたいということなのだろう。

私はそれが望ましいとは思わない。

なぜなら、それらは我々には分からない「ブラックボックス」の中で運用されているのだから。なぜ運用がうまくいったのか、なぜ運用が芳しくないのかを説明することができないのだ。

投資の面白さ、楽しさは「自分で考える」ことにある。そのためには多くのことを学ばなければならない。変わり種投信を購入することは投資家として「考えること」「学ぶこと」を放棄する行為にほかならない。銀行員も投資家も、変わり種投信に潜む、得体の知れないリスクにもっと警戒を払うべきだ。考えることを放棄してはならない。

文・或る銀行員/ZUU online

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