先日、大手企業の会社員が婚活アプリで既婚者であることを偽り、女性4人に「結婚しよう」とほのめかし、騙していたことが報道されました。結婚をちらつかせ相手を騙す、結婚詐欺は近年増えているようです。コロナ禍でどのような結婚詐欺が横行しているのか?VIVID女性探偵社・代表の北川舞子さんにお話を聞いてきました。
コロナ禍で増える結婚詐欺
――結婚詐欺はコロナ禍で増えていますか?
北川さん(以下、北川)「私の事務所では増えてます。『彼氏がどうも怪しいので身辺調査をしてください』と依頼者が来て、彼氏を調べたところ結婚詐欺師だったというケースが増えています」
――なぜ、コロナ禍で結婚詐欺が増えているのでしょうか。
北川「コロナ禍で外出の制限がされて、出会いの場としてマッチングアプリをする人が増えているからだと思います。友達の紹介とか合コンだと、なかなか経歴に嘘はつけないですよね。けれど、マッチングアプリだと経歴は自己申告で、嘘がつけちゃうところも多いですからね」
相談者は30代・40代の女性が多い
――探偵事務所に相談にくるのは、どんなパターンが多いんですか。
北川「最初は人探しにくるんです。『彼氏と連絡がとれなくなってしまったけど、どこにいるんですか』と。それで話を聞いていくと、彼氏に300万円ほど貸していて、返してもらっていないという話になります。でも、この時点では、『彼氏に騙されているんじゃないか?』と疑いつつも、『何かのトラブルに巻き込まれたんじゃないか』と彼氏を心配して信じている方が大半です」
――300万!? 大金ですね。
北川「相談に来る方で200万~300万円騙された、という人は多いですね。結婚適齢期の30代・40代の女性が多いので、結婚に向けてコツコツ貯めたお金だったり、消費者金融に借りて工面したり、結婚資金だと両親に言って借りたりといろんな方がいらっしゃいます」
――彼氏のために消費者金融でお金を借りるなんて、どこかでおかしいと思いそうなものですが…。
北川「自分は絶対に騙されないと思っていますよね。けれど、結婚詐欺師の騙しのテクニックは巧妙で誰でも騙される可能性はあるのです。だからこそ『私は大丈夫』と思わないで、注意が必要だと思います」
個人事業主を装う結婚詐欺師が多い
――結婚詐欺師のお決まりのパターンなどはあるんですか。
北川「結婚詐欺師たちが偽る経歴に特徴はありますね。詐欺師が語る肩書で圧倒的に多いのが個人事業主です。車のディーラーをしていたり、個人で輸入事業をしていたりというものです。フリーのカメラマンというのもありました。彼らはきっちり名刺まで作っていて、早い段階でそれを渡してきます」
なぜ嘘がバレないのか
――名刺を渡されたら、会社名を検索されてバレそうなものですが。
北川「ここが、個人事業主であるポイントなんですよね。『親から引き継いだ会社を細々とやっている』『昔からの得意先と仕事をしているから、ホームページなどもない』と煙にまかれることが多いようです。ビルの一室や自宅に事務所を構えて、輸入業をやっていると言われれば、それ以上確認しようがありません」
――あまりなじみのない仕事だと、専門用語を使われてはぐらかされそうですしね。
北川「名刺に書いてある住所を訪ねていっても、実際にある建物の前について『あのビルに事務所があるのか』と嘘の建物を確認して終わるだけです。そもそも、名刺に書かれている会社の住所を見にいく人はあまりいないと思います。個人でやっているから大々的に公表もしていないということで、会社の実態なども深掘りはできません」