夏に流行りやすい感染症の例―プール熱(咽頭結膜熱)

夏に子供に流行りやすい感染症とは? 大人もかかる? 感染症を予防する方法は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

発熱とともに喉が痛み、目が充血する結膜炎症状が特徴的な感染症です。原因となるアデノウイルスは感染力が非常に強く、プールの水やタオルの共用で感染することがあるので「プール熱」との通称で呼ばれています。6月ころから徐々に流行し7~8月にピークを迎えますが、夏期以外に発生することもあり、年間を通して注意が必要な感染症です。

プール熱(咽頭結膜熱)の初期症状と経過

38~39℃前後の急な発熱で発症し、のどの痛みもほぼ同時に始まります。充血や目の痛み・かゆみ、目やにが出る、まぶしさを強く感じる、涙目が続くなどの結膜炎の症状もでますが、目に障害を残すことはありません。また腹痛や下痢を伴うこともあります。まれにウイルス性の肺炎へ移行することがあるので、乳幼児の高熱が3日以上続く場合には必ず医療機関を受診してください。

プール熱(咽頭結膜熱)の感染経路

プール熱(咽頭結膜熱)の感染経路は飛沫感染や接触感染です。プールの水が目の粘膜に触れて感染してしまう結膜感染も報告されていますが、きちんと塩素消毒されているプールならほとんど心配はありません。非常に感染力が強く、感染した人が触ったドアノブや手すりなどを介した感染もおこるので、地域全体で流行することがあります。

プール熱(咽頭結膜熱)の予防法

風邪などと同様にうがい・手洗い、手指の消毒が有効です。アデノウイルスはアルコールなどに強いウイルスなので、消毒には次亜塩素酸ナトリウムや塩素系の漂白剤を使用します。症状が治まった後も、喉からは7~14日、便からは30日ほどウイルスを排出し続けることがあるので、回復後も口をつける食器やタオル、寝具の共用を避け、オムツの処理は使い捨て手袋を使ってする、便を流す時には便座のフタをしめてから流すなど、ウイルスに接触しないよう気をつけましょう。熱には弱いので、煮沸消毒も有効です。目やになどが気になったときには直接触れないように、濡らしたティッシュや清浄綿でふきとってあげましょう。

治るまでのおおよその期間

プール熱(咽頭結膜熱)そのものを治療する薬はないので、症状にあわせた対症療法をとります。熱は3~4日ほどで下がり、喉や目の症状も1~2週間ほどで落ち着きます。発熱と下痢を同時に発症している場合には脱水症状がおこりやすいので、経口補水液などでこまめに水分補給をしてあげましょう。目の症状が強い場合には眼科も受診するよう指導されることがあります。

大人に感染するか

プール熱(咽頭結膜熱)は大人にも感染することがあり、子供と同じような症状が出ます。

幼稚園・保育園には行けるか

プール熱(咽頭結膜熱)は、学校保健法で登園・出席停止期間が「主要症状が消退した後2日を経過するまで」と決められています。登園・出席時期については医療機関に相談してください。

夏でも注意したい感染症の例―感染性胃腸炎(ロタウイルス)

夏に子供に流行りやすい感染症とは? 大人もかかる? 感染症を予防する方法は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

冬に発生することの多い胃腸炎ですが、春先から夏にかけても注意が必要です。原因となるロタウイルスは感染力が非常に強く、5歳までの子供の95%が1度はかかるといわれています。

感染性胃腸炎(ロタウイルス)の初期症状と経過

多くの場合、突然の嘔吐から始まり、感染者の約3分の1が39℃以上の発熱となります。その24~48時間後には水のような下痢が始まり、嘔吐・腹痛・吐き気が徐々におさまりながら1~2週間ほど続きます。また、ほかのウイルス性胃腸炎より脱水症状をおこしやすく、生後4ヶ月~2歳ころの子供は特に重症化しやすいので注意してください。まれにですが、急性脳症や多臓器不全などの合併症も報告されているので、けいれんや意識障害などをおこしていないか、子供の様子をよく観察することが大切です。

感染性胃腸炎(ロタウイルス)の感染経路

ロタウイルスは感染者の便の中に多く存在し、これが原因で起こる糞口感染が主な感染ルートと考えられています。ロタウイルスは通常の環境下でも安定して存在できるので感染力が非常に強く、ごくわずかな粒子が手指や空中を経由して体内にとりこまれるだけで感染してしまうことが知られています。

感染性胃腸炎(ロタウイルス)の予防法

ロタウイルスはアルコールなどに強いウイルスなので、次亜塩素酸ナトリウムや塩素系漂白剤で消毒します。汚れてしまったものはこれらでつけおき消毒してから、他の衣類と分けて洗濯しましょう。吐いたものや便を処理するときには、マスクや使い捨ての手袋を着用し、汚物はポリ袋などに密閉し、空気中に拡散しないようにします。手指は流水で30秒以上しっかり洗うことも大切です。しかし、ロタウイルスは感染力が非常に強いので、予防はきわめて難しいとされています。生後6~14週6日までの赤ちゃんなら任意でワクチンを打つことができるので、保育園入園などを控えて心配な場合は、医療機関に相談して接種を検討しましょう。

治るまでのおおよその期間

通常は激しい症状は数日でおさまり1週間ほどで回復しますが、初めてかかった時には長引くこともあります。ロタウイルスは型の違うものに複数回かかることで徐々に免疫力がついていき、また感染しても症状があらわれないこともあるので、個人差の大きい感染症といえます。

大人に感染するか

ほとんどの大人は子供の頃にロタウイルスを経験しているので、免疫により感染しても症状があらわれない場合が多いようです。しかし、異なる型のウイルスだったり、大人自身の免疫力が低下している場合には感染し、子供と同様の症状があらわれます。

幼稚園・保育園には行けるか

感染性胃腸炎(ロタウイルス)は出席停止が必要な感染症としては指定されていないので、症状がおさまれば保育園・幼稚園へ行くことができます。

夏に流行りやすい感染症には予防できるものもある。正しい知識で備えを

夏に子供に流行りやすい感染症とは? 大人もかかる? 感染症を予防する方法は?
(画像=はいチーズ!Clipより引用)

ウイルスによる感染症は、それぞれ適切な対応をとればある程度予防できるものもあります。子供の通う保育園・幼稚園では、今何が流行っているか聞いておき、自宅でも対策をとりましょう。また、感染症について調べるのであれば厚生労働省やお住いの自治体の健康福祉課や感染症情報センターなどのホームページで、科学的根拠と最新データに基づいた情報をチェックしましょう。噂や不確かな情報に振り回されないことも重要です。正しい知識を得て、感染症から子供と家族を守りましょう。

まとめ

子供が保育園・幼稚園などで集団生活をすると、感染症のリスクは避けられないものです。もし子供が感染してしまっても必要以上に施設やご自身を責めずに、これで1つ免疫がついて強くなった、とポジティブにとらえましょう。また、病気を防ぐには普段から免疫力を高めておくことが大切です。暑さで食欲がなくてもしっかり栄養をとり、夜にはゆっくり休ませて、体の調子を整えてあげたいですね。

提供・はいチーズ!Clip



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