夏になり気温や湿度が高くなってくるとママは食中毒を心配するでしょう。しかし、夏に流行るのは食中毒だけではありません。未就学児が夏にかかりやすいといわれる感染症はいくつかあります。感染症の種類や初期症状、予防法を知り、備えておきましょう。
夏(5月から7月にかけて)に子供に流行る感染症とは?
高温多湿の夏はウイルスや病原菌が増殖しやすいうえ、夏バテなどで体力が落ちていることで病気が流行しやすくなります。特に「ヘルパンギーナ」、「手足口病」、「プール熱(咽頭結膜炎)」は子供の三大夏風邪と呼ばれ、例年5~6月ごろから流行り始めるので注意が必要です。また、冬に流行が起きるイメージがある感染性胃腸炎も春~夏に発生することがあります。保育園や幼稚園に入って集団生活を始めたばかりの子供は次から次へとかかってしまうこともあるでしょう。感染症の予防法と経過を知って感染した場合にも落ち着いて対処していきましょう。
夏に流行りやすい感染症の例―ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは感染すると突然熱が出て、口の中に口内炎のような赤い小さな発疹がぷつぷつとたくさん出来るウイルス性の感染症です。乳幼児を中心に5月ごろからヘルパンギーナが流行することがあります。
ヘルパンギーナの初期症状と経過
38~40℃ほどの発熱に続いて喉の痛みが始まります。口の中に直径1~2mm、ときには5mmほどの水泡ができ、やがて破れて痛みを伴う潰瘍となります。熱は2~4日程度で下がることが多く、そののち口の中の症状も収まっていきます。発熱時には熱性けいれんに注意しましょう。また、口の中の症状が強い場合には飲み込む動作が辛く、食事や水分がとれなくなって脱水症状をおこすことがあります。
感染者のほとんどが軽い症状のまま快方にむかいますが、まれに合併症として無菌性髄膜炎や急性心筋炎などをひきおこすことがあるので、発熱以外に頭痛や嘔吐、呼吸がおかしい、胸が苦しそう、むくんでいるなどの症状がある場合には、すぐに医療機関を受診してくださいね。
ヘルパンギーナの感染経路
ヘルパンギーナの原因ウイルス「エンテロウイルス」はさまざまな型があるため、流行期に何度もかかってしまうこともあります。感染経路は汚染された手指が口や目鼻に触れることでおこる接触感染やくしゃみ・咳などからの飛沫感染、便で汚染されたものを経由する糞口感染です。
ヘルパンギーナの予防法
ヘルパンギーナを予防するにはこまめなうがいやせっけんでの手洗いをすることが求められます。アルコール消毒に強いウイルスなので、流水でしっかり洗いましょう。次亜塩素酸ナトリウムでの消毒も有効です。感染した子供の看病にあたるときには、口をつける食器やタオル、寝具の共用を避け、オムツの処理は使い捨て手袋を使ってする、便を流す時には便座のフタをしめてから流すなど、注意してください。
治るまでのおおよその期間
ヘルパンギーナそのものを治療する薬はなく、発熱や口内の痛みへの対症療法として、解熱鎮痛剤が処方されることがあります。重症化すると食べ物や飲み物をとることができないほど口内が痛んで脱水症状となり、点滴や入院が必要となることがありますが、ほとんどの場合、症状が出てから1週間ほどで回復します。
大人に感染するか
ヘルパンギーナは1度感染すると免疫がつくのですが、大人でもかかったことのない型や免疫が低下しているものには感染することがあります。大人がかかると重症化することが多く、脳炎や髄膜炎、心筋炎などの合併症がひきおこされる危険性もあります。
幼稚園・保育園には行けるか
ヘルパンギーナは出席停止が必要な感染症としては指定されていないので、本人の状態がよければ幼稚園・保育園へも登園できます。
夏に流行りやすい感染症の例―手足口病
手足口病はウイルス感染によって、1~3日ほど発熱するとともに口の中や手のひら、足の裏、足の甲などに水ぼうそうのような小さな水ぶくれがたくさん現れるのが特徴です。例年、7月下旬ころに流行のピークとなります。
手足口病の初期症状と経過
感染者の約3分の1が発熱しますが、高熱が続くことはあまりありません。口の中、舌、手のひら、足の裏や甲、手足の指の間などに2~3mmの水疱(水ぶくれ)が出て、口内のものは潰れて潰瘍になり、痛みが強いときには飲み込む動作が辛く食事や水分がとれなくなって脱水症状をおこすことがあります。体の水泡は通常痛みやかゆみはなく、かさぶたなどにならずにそのまま消失していきます。
感染者のほとんどが軽い症状のまま快方にむかいますが、まれに合併症として髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症を引き起こすことがあるので、高熱が2日以上続く、頭痛や嘔吐、意識がおかしいようすなどがみられた場合にはすぐに医療機関を受診してください。 回復した1~2ヶ月後に手足の爪がはがれることがありますが、その後きれいに生え変わるので安心してくださいね。
手足口病の感染経路
手足口病の感染経路は接触感染や飛沫感染、便で汚染されたものを経由する糞口感染です。原因ウイルスにはさまざまな型があるため、流行期に何度もかかってしまうこともあります。
手足口病の予防法
手足口病の予防法としてはうがいやせっけんでの手洗いが大切です。アルコール消毒に強いウイルスなので、流水でしっかり洗いましょう。次亜塩素酸ナトリウムでの消毒も有効です。感染した子供の看病にあたるときには、口をつける食器やタオル、寝具の共用を避け、オムツの処理は使い捨て手袋を使ってする、便を流す時には便座のフタをしめてから流すなど、ウイルスに接触しないよう気をつけましょう。また、感染していても症状が出ずに保菌状態となるだけの場合もあるので、流行時期には常に注意が必要といえます。
治るまでのおおよその期間
ほとんどの場合、症状が出てから1週間ほどで回復します。まれに、症状が強く食べ物や飲み物をとることができないほど口内が痛んで脱水症状となり、点滴や入院が必要となることがあるので、子供の様子をよく観察してください。
大人に感染するか
手足口病は1度感染すると免疫がつくのですが、大人でもかかったことのない型や免疫が低下しているものには感染することがあります。子供よりも大人が感染した場合の方が重くなりやすく、痛みの強い発疹、全身倦怠感、悪寒、関節痛、筋肉痛などの症状が出ることもあります。
幼稚園・保育園には行けるか
手足口病は出席停止が必要な感染症としては指定されていないので、熱がなく、本人も元気であれば保育園・幼稚園へ行くことができます。