作品と鑑賞者の境界が混ざり合う「Borderless World」
「Borderless World」は、人間同様に、アートも空間を飛び出し人間や他作品と混ざり合い影響を受けながらボーダレスな関係を築くというテーマのエリア。中国の上海をはじめ世界に散らばる作品同士、そして来場者も巻き込みコミュニケーションすることで境界を失い新たな作品世界が生まれます。
【新作】『反転無分別、境界を越えて描かれる – One Stroke, Cold Light』
ディスプレイ内に描かれた空書(空間に書かれる書)が枠を超えて空間にそろりと飛び出し、自由奔放に書を連ねる姿を眺められる同作。いつの間にか2次元から3次元へと飛び出した空書は同空間に展示中の作品『花と人の森、埋もれ失いそして生まれる』内に飛び込み、描かれた花々を散らしながら侵食し影響を与えます。
ゆっくりと動いていた書が勢いを増し、どんどん自由になっていく姿は生命が宿り意思を持ったように見えるかもしれません。ボーダレスに突き進む空書は怖くもあり、羨ましくも感じる存在。いつまでも追っていたい、そんな魅力にあふれています。
終着点では二次元時と同様に反転無分別状態へ。右回りか左回りか、鑑賞者によって回転方向の見え方が異なります。
【新作】光の彫刻『Chromatic Light Wall - Pass Through』
光の線の集合により空間や立体の構築されていく様を眺められる『光の彫刻』。光線の組み合わせにより生まれた空間や立体物は不思議な安らぎを放ち、見ている来場者に没入感を与えます。線に戻ったり、集合体になったり、宇宙でビックバンが生まれるような不思議な力を感じるはず。
『Chromatic Light Wall - Pass Through』では、200台以上のムービングライトから生まれる光の線がレッド・グリーン・ブルーを中心に、混ざることでさまざまな色を生み出していきます。時にはイエローにそしてホワイトに。刻々と変化する光の塊は、薄いスモークでさらに曖昧な空間を構築し、そのなかへと鑑賞者をいざないます。見るだけでなく、光の中へ入ると夢のようなふんわりした世界に包まれる感覚があるはずです。
なお、同シリーズとして新たに『Chromatic Light Wall』『Nucleus of Life』『Revolving Tunnel』『Aurora Lights II』『Polyhedron』の5作品が加わりました。
【新作】『空間を越えて共有する巨石』
上海のチームラボボーダレスの中を浮遊する巨石。上海会場でゆっくりと壁にめり込むと、その分だけ岩塊が東京会場に表れ、巨石が媒介となって時空を超えた共有の空間を生み出します。東京側で巨石にタッチするとふれた部分が青白く変化。上海側でふれた場所は赤く光り東京と上海会場の繋がりを感じさせてくれます。
見えない誰かがふれ、色が変化していく巨石を鑑賞すると同時に、それに答えるように鑑賞者が光で返事をしていく一連の流れは新しい感覚を呼び起こします。世界のどこかの誰かとの言葉に頼らないコミュニケーションを静かに味わってみては。ちなみに岩が現れるタイミングはランダム。出会えたら、ぜひそっとふれてみましょう。
『Walk, Walk, Walk: 探し、遠ざかり、また 出会う』
2004年に発表された作品『花紅』のリメイクがさらにアップデート。作品『秩序がなくともピースは成り立つ』で描かれた肖像群が空間を超越することで物語はスタートし、来場者や他作品に影響を受けながら周囲を歩き続けます。永遠に進み続ける彼らをじっと眺めたり、隣で一緒に歩いてみても。日本古来の巻物や襖絵から飛び出してきたかのような匿名の群像たちが動き反応する様子はとてもマンガチックです。
作品自体はリアルタイムで変化。同じ瞬間は二度と訪れないという儚さと偶然性を持ち合わせています。常に変容し続け、新作を永遠に見続けている状態とも。まさに禅の言葉「歩歩是道場(ほぼこれどうじょう)」を体現した作品です。
『花と共に生きる動物たち II』
作品『花と人の森』の花々から形作られた動物がゆったりと周囲を歩き、鑑賞者がふれると花が散り同時に動物の命も散る作品です。何気なくふれた動物たちの花がゆっくりと散り消えていく様子はまさに命の儚さそのもの。そして花を纏った動物たちは死滅と誕生を繰り返します。
静かに集まりだした花々が命となり、動物として動き出す瞬間は感動を覚えるはず。かわいらしさと優雅さに思わず愛着も生まれ、ずっと見ていたくなります。ひまわりやマリーゴールドをはじめ季節により構成される花々は変化。なお、こちらもリアルタイムで人の干渉に影響を受けるため、動物との出会いは一期一会です。
『The Way of the Sea, Flying Beyond Borders - Colors of Life』
各空間から魚群が出ることで始まる同作。作品と作品をボーダレスに行き来する魚たちが主役です。魚群はあるときはぐるりと円を描くように泳ぎ、そしてあるときは鳥のように空間を舞います。数千から数万匹が縦横無尽に空間を泳ぎ回る姿は圧巻のひと言です。
来場者が魚群にふれると個々人が持つカラーが魚たちに伝わり、色がイエローやグリーンに変化。勢いよく離れゆく魚たちの一部が自分色に染まり、離れがたい感覚にもなります。なお、同作品は『鳥道』シリーズのひとつ。禅の言葉に同様のものがあり、固定された道ではなく、自由で跡を残さないという意味を持っています。
幻想的な光に照らされ気分は物語の主人公!「ランプの森」
会場内でも特に人気のエリア「ランプの森」。写真映えナンバーワンで、鏡面に映るランプのなかを来場者が浮かんでいるような絵が撮れます。色彩とベネチアン・ガラス製のランプがやわらかく光を放つ世界は物語のワンシーンのよう。入場までの順番を待っている間はガラスを隔てたエリアから眺めることも可能です。
『呼応するランプの森 - ワンストローク,Fire on Ice』
『呼応するランプの森 - ワンストローク』シリーズは複数のランプの色を体験可能。一見ランダムに配置されているように見えるランプが実は数学的に求めた上で置かれており、一筆書きのように1本の光を描くように計算されています。
ランプの近くで立ち止まると、一番近いランプが明るく点灯。そこから周囲のランプにも光が伝播し全てのランプに伝わっていき、最後は起点へと戻ります。炎と氷をモチーフとした『呼応するランプの森 - ワンストローク, Fire on Ice』はブルーとレッドのコントラストが美しい空間。作品は季節によって色やテーマも変わります。
描いて&体験、みんなと作る「学ぶ!未来の遊園地」
「学ぶ!未来の遊園地」では、「共同的な創造性」をコンセプトに他者と一緒に作品を作り出すことに特化した作品を展示中。自分自身の描いた魚たちが画面のなかで泳ぎ出すなど、ほかの来場者たちと一緒に作品を磨き発展させていけます。今回はアップデートし、よりボーダレスとなった作品をご紹介。
【新作】『世界とつながったお絵かき水族館』
来場者が描いた海の生き物が巨大な水族館に現れ泳ぎ出す作品『お絵かき水族館』が進化。世界の水族館作品とつながり魚たちが世界中を泳ぎ回れるようになりました。「To the World」のフラッグ持った魚が現れれば世界の水族館へと魚たちの旅の始まりです!
「Born Tokyo」のフラッグとともに魚たちが上海の展示会場に表れたり、逆に上海からは「Born Shanghai」「From the World」のフラッグを持って日本の水族館側に登場します。今後はリアルタイムでマカオやサンフランシスコの『お絵かき水族館』や『スケッチオーシャン』も回遊予定。定期的に投入されるえさ袋にさわればご飯をあげることも可能。積極的に魚たちとふれ合ってみましょう!