奈良県の安堵町は、奈良盆地のほぼ中央に位置する小さな町です。観光の町というイメージはあまりないかもしれませんが、実は資料館や文化財、隠れ家的なパン屋もあり、散策を楽しむことができます。田畑と住宅が混在するのどかな町を歩いてみませんか。

奈良県安堵町とは

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか、トリップノートより引用)

安堵町(あんどちょう)は、奈良県北西部にある人口約7,000人の町です。面積4.31平方キロメートルの小さな町は、その多くが田畑と住宅地で、のどかな風景が広がっています。

奈良県内の他の市町村と比べ、観光資源が豊富というわけではありませんが、古い邸宅を改装した資料館やレストラン、公園などが点在しています。近年では観光拠点施設がオープンするなど、観光への取り組みもされており、散策を楽しむ人の姿も見られます。

それでは、安堵町の見どころをご紹介していきます。

安堵町文化観光館「四弁花」

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか 安堵町観光の拠点「四弁花」。約50メートル北に、観光駐車場もある。、トリップノートより引用)

安堵町文化観光館「四弁花」(しべんか)は、安堵町の観光発信施設として、令和元年8月にオープンした施設です。「四弁花」という名称は、安堵町出身で近代陶芸作家の巨匠である、富本憲吉(とみもと けんきち)の作品に用いられた、四弁花模様が由来となっています。2階建ての施設は、1階がギャラリー兼休憩室、2階が研修室となっています。

1階では、富本の生前の業績を紹介しているほか、安堵町の特産品の展示、観光スポットのパンフレット配布などを行っています。係員が常駐しているので、安堵町の観光スポットについてたずねることもできます。

うぶすなの郷 TOMIMOTO

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか 旧富本邸を改装した「うぶすなの郷」。見学は、レストラン、宿泊などの施設利用者に限られる。、トリップノートより引用)

うぶすなの郷 TOMIMOTOは、富本憲吉の生家を改装した、体験型宿泊施設です。建物内部には、客室、レストラン、庭園などがあり、宿泊やレストランなどの施設利用者のみ、入場することができます。

客室は、富本憲吉が居間としていた和室や、大正時代に建てられた蔵を現代風に仕上げており、歴史を感じながら快適に過ごせそうです。

レストランは、明治時代に建てられた本館にあり、地元の食材を贅沢に使用した料理がいただけます。ランチは、先付、箱、ご飯、デザートなどがいただける「うぶすなの小箱」(3,300円)や、箱にお造りや小鍋も付いた「うぶすなの箱」(5,500円)などがあります。

ディナーは会席料理となっており、うぶすなの会席「竹林月夜」(8,800円)、料理長おまかせ会席「花」(13,200円)のほか、予算に応じた料理の提供も可能です。どちらも当日の3日前までに予約が必要ですが、その分落ち着いて食事を楽しむことができそうです。

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか、トリップノートより引用)

こちらでは、ほかにも、各種体験メニューが用意されています。季節の植物を使って作る苔玉づくり体験、陶芸家の富本憲吉にちなんだ陶芸体験、素焼きの皿、湯呑みへの絵付け体験も行っているので、興味のある方は、問い合わせてみてください。

安堵町歴史民俗資料館

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか、トリップノートより引用)

安堵町歴史民俗資料館は、安堵町の歴史や文化、伝統産業を紹介し、伝承していくために設置された施設です。建物は、町の出身で、明治時代に奈良県が大阪府に合併された後、奈良県の独立、再設置の運動に尽力した今村勤三氏の生家を改装しています。

今村氏や伝統産業「灯芯」についての展示

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか、トリップノートより引用)

館内では、今村氏に関する資料の展示のほか、町の伝統産業「灯芯」についても紹介されています。灯芯とは、行灯、和ろうそくなどの燃え芯のことであり、安堵町では、畳などに使用される植物「いぐさ」の表皮を引き裂いて作る「灯芯引き」が古くから行われてきたそうです。

天理軽便鉄道に関する展示

かつて町内を走っていた鉄道を紹介するコーナーにも注目してみてください。現在、町の中心部には鉄道が通っていませんが、大正4年から昭和20年までの間は、町内を東西に走っていました。これは天理軽便鉄道(てんりけいべんてつどう)と呼ばれるもので、西にある斑鳩町から現在の町内中心部を通り、東の天理市までを結んでいたそうです。

昭和になると、太平洋戦争の戦況の悪化により、安堵町内を通る区間は廃止されましたが、町外の東側区間は残り、現在でも近鉄天理線として営業されています。町内には、鉄道跡がいくつか残っているので、興味のある方は、資料館で尋ねて歩いてみるのも良いかもしれません。

旧今村邸の建物や庭園

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか、トリップノートより引用)

旧今村邸の建物や、庭園もじっくりと見学してみることをおすすめします。建物は、主屋、蔵、茶室などからなり、延床面積は、約723平方メートルと、とても広いです。

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか 茶室、トリップノートより引用)

表門や茶室は、弘化4年(1847年)の建築だそうです。主屋の廊下から眺める庭園や茶室の雰囲気も良く、落ち着いた気分で見学できますよ。

【奈良】意外な穴場!のどかでホッとする安堵町を観光しよう1.jpg
(画像=ゆきたか 勤三桜と呼ばれるしだれ桜。春には地元町民も鑑賞に訪れる。、トリップノートより引用)

よく手入れされた庭園や周辺では、ウメ、サザンカ、ボタンなど、さまざまな花が一年を通して楽しめます。筆者が訪れた際には、あじさい、花しょうぶが美しく咲いていました。入口を入って右手奥の庭園には、勤三桜と呼ばれるしだれ桜があり、春には美しく咲くそうです。