会社に勤めている場合の住民税は、給与から天引きされるので、納め忘れることはありません。しかし、転職する場合は、一時的に無職の期間ができることもあり、滞納する可能性があります。住民税に関して、転職者が注意すべきこととは何でしょうか。住民税の仕組みなども併せて、詳しくご説明いたします。
住民税は給与所得の10%と覚える
住民税の仕組みとその納付時期は、どのようになっているのでしょうか。福岡市の仕組み、納付時期を例にとってご説明します。
まず、住民税の金額ですが、前年の1月1日から12月31日までに支払われた給与等の金額を基にして、税額を計算することになります。
この「給与収入金額」から「給与所得控除額」を差し引いて、「給与所得」が算出されます。
給与所得は、65万999円以下の給与収入金額の場合は0円、65万1,000円以上161万8,999円以下の場合は「給与額-(マイナス)65万円」、「161万9,000円以上161万9,999円以下」の場合は「96万9,000円」です。
この「給与所得」に8%をかけた金額が市民税で、2%かけた金額が県民税となります。つまり、給与所得の金額の10%がその人が納めるべき住民税です。
住民税の納付時期は働き方によって2通り
住民税の納付時期は、以下の2通りがあります。
給与所得者の場合は、会社の人事担当者などが、毎月の給与から住民税(市民税、県民税など)を差し引いた上で、従業員に給与を支払います。そして、差し引いた住民税を翌月10日までに、市区町村、都道府県に納付します。つまり、会社員は毎月住民税を納めているのです。
一方、自営業者などの場合は、前年の所得によって確定した住民税を4回に分けて納付します。
通常、市区町村役場から、納税額、納付期限が記載された「納税通知書」が送られてきますので、この納付書を使って納税します。
会社員から転職した場合の住民税は?
会社員から転職した場合の住民税は、個人で自治体(都道府県、市区町村)に直接納めることになります。退職する際には、会社が自治体に「異動届出書」を提出しなければなりません。この届出書を受けて、自治体は退職者宛に直接「納税通知書」を送ります。
この「納付書」を使って、納税者は自治体に住民税を納めることになるのです。
会社に勤めていた時には、会社の人事担当者などが給与等から天引きをして、納税者の代わりに自治体に住民税を納めていました。しかし、会社を辞めてしまうと、基本的に自分で納めるということになります。
また、今までは会社が毎月、つまり年12回住民税を納めていましたが、個人で住民税を納めることになると年4回の納期に変わります。このため、会社に勤めていた頃よりも住民税の金額が高くなったような印象を持つ人もいます。
会社を辞める際に、「これから、しばらくの間は自分で住民税を払う」ということを念頭に準備しておかないと、思わぬ出費に驚き支払えない場合は滞納することになります。
転職の際の注意点
会社を退職した場合に注意したいのは、次の転職先が決まっていない場合、退職した日付や退職者の意思によって、住民税の納付方法が異なることです。
6月1日から12月31日に会社を辞めた場合、7月以降は給与から住民税を天引きすることはできませんから、残りは自分で直接納税することになります。また、6月1日から退職月までに支払われた給与等に課税される住民税は翌年に支払うことになります。
自分で直接納税するのが面倒な場合は、退職者が希望すれば、退職した月から翌月の5月分までの住民税をまとめて、退職する月の給与あるいは退職金から一括して天引きを選ぶこともできます。住民税を退職の月に一度に納めるか、あるいは退職後に自分で納めるかを選べるということになります。
1月1日から5月31日に会社を辞めた場合は、一般的に、退職した月の給与から5月分までの住民税が一括で天引きされます。もし、退職月の給与が、天引きされる住民税よりも少なければ、会社の人事担当者に「自分で納税する」旨を伝え、その後自治体から送られてくる「納税通知書」で納めます。
会社を退職する際には、住民税の納め方が複雑になるため、会社の人事担当者と納得がいくまで話す必要があります。納税は国民の義務ですから、決してあいまいにしたり、放置したりすることのないようにしましょう。
文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)
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