歴史は繰り返さない。経済学者が繰り返す

方程式が分からない人工知能は、結局、過去のデータからトレンドを探し出して「それっぽい結論」を導き出すしかない。

たとえばBrexitのケースでは、人工知能は1933年に日本が国際連盟の常任理事国を脱退した前後のチャートの動きを調べるかもしれない。その処理スピードは金融のプロを凌駕するが、やっていることはデータマイニングであって法則に基づいた予測ではない。

「歴史は繰り返さない。経済学者が繰り返す」

経済学でよく使われる言葉だ。結果として過去とまったく同じ値動きがあったとしても、当然ながら状況はまったく異なる。それは「同じことが起きている」のではなく、人間が「同じことが起きている」と解釈しているに過ぎない。いくらもっともらしく見えても、それが本質であると思い込むのは大きな誤りである。

ペッパー君はドラえもんにはなれない

ソフトバンクの人工知能ロボット、ペッパー君は、7つの感情の概念を持っていると言われている。相手の声の抑揚などをモニタリングしながらどの感情なのか当てはめることができる。しかし、ペッパー君にしてみれば、自分が分析した結果が本当に合っているかどうかなどどうでもいい話である。あくまでもアルゴリズムと過去のデータに基づいて演算をしているだけだからだ。

人工知能が猫を猫として判別できるのは猫というデータがあるからだ。人工知能がレンブラント風の絵画を描けるのもレンブラントの過去の作品があるからだ。そしてこうしたデータには外力がかかりにくい。だからデータマイニングでも精度の高い予測ができる。

しかし、人の感情にしろ、その感情が影響する金融市場はそこまでシンプルではない。ペッパー君は感情を司るかもしれないが、人工知能のアルゴリズムの進め方が少なくとも現在のやり方である限り、ペッパー君がドラえもんに進化することはない。

文・尹 煕元(CMDラボ代表)/ZUU online

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