自分たちらしい平等のため、夫婦別姓に向けた歩み

 牧野さんは夫婦別姓への提案や取り組みについて「家庭内のジェンダーが平等になり、私たち夫婦のカタチがアップデートされていくことは、家族としても意味のあることなんじゃないか」と感じ、改めて夫婦別姓について考え始めたのでした。  結婚した25歳のときは、夫婦別姓に対する自分の気持ちや法的な部分の説明ができなかった牧野さん。今回は事前にきちんとメリット・デメリットを調べ、そしてフラットに提案したといいます。

モデル牧野紗弥が気づいた“妻の苦しさ”の正体。ジェンダー問題だったんだ!|Vol.2
(画像=『女子SPA!』より引用)

「今回夫に夫婦別姓を相談するにあたり、事前に自分で調べたり、弁護士さんに相談したりしたうえで臨みました。現状、日本では夫婦別姓制度はなく、別姓にするにはペーパー離婚(書類上の離婚)をして事実婚関係にするしか方法がありません。その場合、法的な権利はどうなるのか、問題点はどこにあるのか、また子どもの問題についても事前に弁護士さんへ確認を取りました」

 弁護士の回答は、事実婚になっても、親権問題と財産分与における妻の権利がなくなる以外は今と変わらないという内容だったそうです。また、仮に子どもが戸籍上“牧野”姓に変わっても、旧姓(夫姓)を学校で使用することは問題なく、保険証も夫の扶養内であれば問題ないと回答がありました。

「親権」も大切な問題であり、壁のひとつ

「こうした事前準備を経て、夫と改めて夫婦別姓について相談をしました。夫は最初びっくりしていましたが、きちんと私の気持ちを受け止めてくれました。彼としては、離婚は百歩譲ってOKだけど、親権問題については『共同親権』以外考えられないと。日本ではまだ法律上の共同親権が認められていないので、この件は子どもも含めて話し合いをしていくことになりました」

モデル牧野紗弥が気づいた“妻の苦しさ”の正体。ジェンダー問題だったんだ!|Vol.2
(画像=『女子SPA!』より引用)

「共同親権」とは、父母が共同して子に対して親権を持つこと。日本の民法では、離婚後は父母いずれかが親権者となる「単独親権」を定めています。

 筆者は過去に別の取材で、事実婚について当事者に話を聞いたことがあります。その際、事実婚を選択していても、子どもが生まれた場合は法律婚に切り替えるカップルも多いことを知りました。  理由は、子どもの心理面や生育環境への配慮といった側面も大きいのですが、そもそも事実婚で出産した場合、原則は母親の単独親権となるということも関係しているといいます。こうした日本の法制度も、牧野さんたちの夫婦別姓という選択の前に立ちはだかっている壁の一つと言えるでしょう。