こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 夫婦共働きがすっかり珍しくなくなった昨今ですが、共働きをしながらも家事育児の負担が妻側に偏っていることはよくあります。他にも収入に差があったり、何をするにも「夫が主」だったりと、夫婦の関係性がどこか平等でないと感じている夫婦もいるかもしれません。

モデル牧野紗弥が気づいた“妻の苦しさ”の正体。ジェンダー問題だったんだ!|Vol.2
(画像=『女子SPA!』より引用)

こうした夫婦間の問題は、その家ごとに最適な答えや関係性が異なるものです。雑誌『VERY』や『Domani』などで活躍するモデルの牧野紗弥(まきの・さや)さんは、自分たちらしい夫婦の形として、書類の上での“離婚”をして「夫婦別姓」を選択しようとしています。  3人のお子さんを育てながら、夫や家族とともに“平等な夫婦のあり方”を追求し続ける牧野さん。前回記事では、結婚してから抱え続けた違和感に気づくまでを話してもらいました。

【前回記事】⇒VERYモデル牧野紗弥が「ペーパー離婚で夫婦別姓」を選ぶ理由。平等な夫婦の形とは

 今回は、じつは思い込みもあった「妻の役割」から解放され、自分たちらしい選択=夫婦別姓を見つけて家族に提案するまでのお話。どんなやり取りや悩みがあったのか、その胸中を聞きました。

私の苦しさの正体は、ジェンダーの問題だったんだ!

 結婚して子どもを育てる中で、だんだんと妻や“嫁”としての役割に苦しさを覚え、同時に復職したくてもできない状況に不満が募っていった牧野さん。夫さんと話し合い、「1週間家事や育児を全て夫に任せてみる」というチャレンジをしました。  その結果、夫さんからは今まで全く知らなかった妻の苦労や緊張感を知ることができたと感謝の言葉が。牧野さん自身も、自分が妻として背負い込みすぎることで、夫が育児や家事について知る機会を奪っていたことに気づいたそうです。

モデル牧野紗弥が気づいた“妻の苦しさ”の正体。ジェンダー問題だったんだ!|Vol.2
(画像=『女子SPA!』より引用)

「この夫婦のできごとと同じくらいのタイミングで、私は『ジェンダー』という言葉を初めて知りました。上野千鶴子さんの『VERY』の特集がきっかけだったのですが、自分の中にあったモヤモヤや苦しさが、全てジェンダーバイアス※によって起きていたことだったと気づき、目からうろこが落ちるようでした」※男女の役割分担に対する固定観念

 復職したいのにスムーズにいかないこと。子どもが熱を出した時、妻ばかりが関係者に謝って調整をつけること。当たり前に自分がやるしかないと思っていたことがじつはそうではないと知り、牧野さんはジェンダーについて強い興味を抱いたそうです。

「妻だからこうしなきゃ」の思い込みを手放す作業

「上野さんの記事を読み、その後、清田隆之さんやおおたとしまささんのジェンダーに関する書籍を読むことで、自分で学びを深めていくようになりました。そして家庭では、夫が家のことを知ったのを機に、改めて『どこを夫に任せられるか』『どう分担していくか』というやり取りが始まりました。  最初は夫も『子どもの予定を“教えて”』というスタンスだったのですが、教えてというのも変だなと思い、各自で子どもの予定などを確認できるよう、共有のファイルを作ってプリント類を保管するシステムにしたりしました」

モデル牧野紗弥が気づいた“妻の苦しさ”の正体。ジェンダー問題だったんだ!|Vol.2
(画像=『女子SPA!』より引用)

こうした1つ1つのやり取りや改善を繰り返す中で、ここも任せていいんだという割合が増えていったという牧野さん。

「その時『もう1回夫婦別姓について夫へ話してみようかな』という思いがわきました。私の中では結婚して姓を変えたことで、長いあいだ夫に所有されていた感覚や、『妻だから◯◯しなきゃ』という囚(とら)われの気持ちがあったわけですが、今こうして家庭内のジェンダーが平等になっていく中だったら、夫はどう言うかなと思ったんです」