筆者のノウハウだけではなく性格を読み取る
どの投資にも言えることだが、「その人の素質」が故に成功したのだろう……と思える事例も少なくない。ある意味常識破りの方法で成功していたり、特別ラッキーだったのじゃないか?と思えるような成功本もある。だからといって「自分にはむかない」とあきらめるのではなく、著者の性格を読み取ってほしい。
ローンを駆使して大きく物件を買い足していく著者でもその生活スタイルはシンプルで質素であるとか、取柄もないから地道に投資を進めたという著者でも写真が好きでずっと自分の物件をとり続けてマイソク(物件広告用の資料利用したらそれが好評で空室知らずになったというような例である。両者とも自らの長所がうまく不動産投資に生かされている。
他の投資と違って勝負にでるその時だけに素質が物言うのではない。いくらで買って、いくらで貸すという単純なノウハウではなく、成功者の光るセンスを読み取り、自分なら何をいかすことができるか考えてみると、成功本から得られるものは更に大きい。
見本を独自のやり方へとつなぐこと
ここまでの3つの注意点を念頭に成功本をもう一度読み直してみて欲しい。初めて手に取り読んだときとは捉え方が違うはず。「こんな風に成功しました」「トラブルもこんなにありました」という部分を読んでいただけではなかっただろうか。
不動産投資の成功本は一種のノンフィクション小説である。実際に起こっていることなのに、単純に読んだだけでは自分には真似できない。それは不動産投資が他の投資と大きく違う性質「事業性」を持つからである。
利益確保のタイミングを見極めのが必要な株式やFXと違い、収益の基本が売却益ではない。主な収益が家賃収入(インカムゲイン)である不動産投資はそれが安定して続くように、経営していかなくてはならない。規模によっては申告の際に経費扱いも活用できることからその事業性が納得できる。オペレーションスキルや、マーケティング力が必要なのはもちろん、更には次なる段階を打ち出す事業開発力も重要である。
ここまで理解できると不動産投資成功本は起業成功本と似たような性質を持つことがわかる。ベンチャービジネスを成功に導いた人や、小さな店から大店舗に発展した事業主などだ。何か起業しようとするときに、その人と同じことではなくて更にいいアイデアはないかなと……と模索するのと同じである。
税務的には5戸又は10室からが事業と言われる不動産投資だが、実際にそのスタートは当然1戸からでも始まる。成功本にはその秘訣がぎゅっと詰まっているのだから、それを素に自分のアイデアと活用力を磨き、実践することが不動産投資を成功に導くカギである。
文・片岡美穂(不動産関連、外国人雇用・ビザ等を扱う行政書士。元土地家屋調査士。)/ZUU online
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