自営業やフリーランスの方が「経費で落とす」と言って税金対策をしているのを見聞きしたことがあるかもしれません。「税金を節約したくても会社員だとできない」と思いがちですが、実はそうとは限りません。家賃を経費に入れて節税する方法を取っている方もいますよ。
「経費にすると節税できる」ってどういうこと?
税金にはさまざまな種類がありますが、そのなかの「所得税」と「住民税」の金額は、その人の所得をもとに計算されています。
所得とは、収入からそれを得るために支払った「必要経費」や個別の事情を勘案して反映させるための「控除」を差し引いた金額です。
必要経費や控除が増えれば所得は減り、所得が減ればそれをもとに計算される所得税や住民税の税額も減ります。「経費に入れると節税できる」と言われるのはこうした仕組みがあるからです。
会社員でも経費にできる?
会社員で「収入を得るための経費」と言われてもピンとこないかもしれませんが、たとえば仕事のために支出した通勤費、転居費、資格取得費、図書費、スーツ代などは一定の条件を満たせば「特定支出控除」として申告して税額を抑えることができます。
さらに、副業しているならそのために支出した費用も経費にできます。自宅の家賃なども経費にできる可能性もあります。
「家事按分」と呼ばれるしくみがあり、自宅の一部を仕事用として使っている場合は、その利用比率に応じて家賃や光熱費などの費用を按分して経費として計上できるのです。
家賃10万円のマンションの1室(全体の2割)を副業用の事務所代わりに使っている場合、月2万円分(年間24万円)は経費にできます。住民税の税率10%、所得税の税率10%の人なら24万円×20%=4万8,000円分の税金が安くなる計算です。
所得が高い人ほど所得税の税率が高くなります。税率20%の人なら、上記の例と同じ経費を計上しても7万2,000円税金が安くなるため、所得が高い人ほど節税効果が高いと言えます。
会社員でも節税は可能
副業をしていれば、そのためにかかった費用を申告して税金を抑えることは可能です。虚偽の申告をするなどの「脱税」は違法ですが、「節税」は適正な税金を支払っているので問題ありません。税の仕組みを理解して、制度を賢く使っていきましょう。
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
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