2015年は郵政3社、2016年にはLINEと大型の有名企業が続き、投資家たちのIPO銘柄への関心は依然として高い状況だ。
上場前の公募段階で株式を取得できれば利益を得ることができる可能性が高く、美味しい投資手段だと思われがちだ。しかし、IPO銘柄だからといって必ずしも利益が出るわけではない。成功と失敗を分けるものは何か、実例を交えて説明していこう。
IPO銘柄のセカンダリーは玄人の戦場?
上場する企業は、広く投資家に株式を買ってもらって資金調達をするのだが(公募)、この市場をプライマリーマーケットと呼び、この時の購入価格が公募価格となる。
その後、上場して最初につく値段が初値である。公募価格と初値との差益を狙って投資をするというのが、一般的なIPO投資だ。そのため、多くの人が公募段階で株式を取得しようと人気が出る。大抵の場合、公募で人気銘柄を当てることは難しく、上場後の高い値段で買うことを強いられる。
最近では、公募でIPOの利益を狙うのではなく、上場後のセカンダリー市場で利益を狙うIPO投資が盛んになっている。初値が数倍になった銘柄でも、上場後に2倍以上になることもある。その際は、銘柄選びが大きな利益に繋がっている。
例えば、最近でもインベスターズクラウド <1435> は初値の5倍、テラスカイ <3915> やロゼッタ <6182> は初値の3倍となっている。玄人の主戦場であることを知っておかなくてはならない。素人が何も知らずに手を出すと、痛い目を見ることになるため注意が必要だ。
小型IPO銘柄の値動きはジェットコースター
上場後に公募価格を大きく上回る初値をつけても、その後半分以下まで株価が下がってしまうケースもある。
たとえば、ANAP <3189> の初値は公募価格の4倍以上まで上昇したものの、その後株価は5分の1になってしまった。このような例は少なくなく、ほかにも数多くの銘柄が上場後に暴落する、いわゆる上場ゴールを迎えてしまっている。
このような銘柄に共通しているのは、将来的に市場の伸びが難しそうな業界だったということだ。仮に公募段階での発行株数が少なく、初値が高騰したとしても、その後売りに押されて株価は大幅に下落する傾向がある。
マザーズやジャスダックといった新興市場に上場した株式の場合、初値は上がったものの、その後の人気のなさや業績への期待感の低さから、株価が伸び悩んだ典型的な例だと言える。