株式投資ならではの魅力といえば、株主優待や配当だ。権利が確定する日に株式を持っているだけで、配当を受け取ることができるという分かりやすさ。そして手堅さから、個人投資家に人気だ。その手軽さゆえに、間違った投資法に陥っていることに、多くの個人投資家は気づいていない。
配当が水の泡? 株価変動には要注意
株式投資の利益は、インカムゲインとキャピタルゲインに分かれる。
インカムゲインは、株式配当や優待など株式を保有することで得られる、安定的な権利収入だ。一方のキャピタルゲインは、株式の売買で得られる収入だ。株価は一日あたりの変動(ボラティリティという)が非常に大きく、数日間で年間の配当以上も動くことがある。せっかく株式配当を得ても、株価変動による損失が大きければ、最終的には損をしてしまう。
株主優待投資を楽しむためにも、株価の変動を読み、売買損益をしっかり確保する。その上で、+αの利益として、株式配当や株主優待を手に入れる投資をするのがいいだろう。
多くの個人投資家は、株主優待や配当を調べて、魅力的な銘柄を見つけると、権利確定日をチェックする。その期日が近づいたら株式を購入し、権利落ちの日に売却することを繰り返す。多くの投資家が同じ行動を取るので、権利確定日が近づくと、買い注文の増加で価格が上昇し、権利落ち日には売り注文が増加するために、価格が下落する傾向が高い。
株価の毎日の変動は大きいことを考えると、配当や優待を狙う投資だとしても、価格が安いところでしっかりと買いを仕込むことが重要だ。ここからは、安いところで買いを仕込んで、配当や優待を獲得した上で、売買利益も獲得する投資法を紹介したい。
指標を見ながら優待・配当銘柄も安く買うべし
優待や配当が魅力的だと思う銘柄の月足チャートを確認していただきたい。1年間の値動きの中には、年に何度か大きく下落した後で、上昇するパターンを確認できはずだ。株価には、数時間の短い上下動から、数年をかけて形成するとても長い上下動まで、様々な上昇と下落がある。特に極端な安値や高値を確認する指標として、テクニカル分析におけるオシレーター系の指標を確認して欲しい。
筆者は、オシレーター系の指標の1つとして、RSI(Relative Strength Index)を使っている。この指標は、一定期間の値動きの幅に占める陽線の割合と考えることができる。陽線とは、主に市場参加者の買い心理により形成される値動きなので、RSIの値が高ければ高いほど、市場参加者の買い意欲が強いと考えられる。逆に、RSIの値が低ければ低いほど、市場参加者の買い意欲は弱い。
月足でRSIを確認すると、時に極端に低い値を形成している時間帯が存在する。投資家の買い意欲が弱くなり、逆に売り意欲が強くなっていることを意味している。いわゆる弱気の時間帯だ。しかし、市場参加者の心理が、ずっと弱気であることはなく、いつか上昇に転じる性質を持っている。この弱気な時間帯こそが、株主優待投資法のチャンスだ。月足のRSIを確認し、極端に弱気に傾いたところで買いを入れ、じっと待つのだ。