世の中の常識って、男性の常識を中心につくられがち
――社会が求める「女性らしさ」や女性ならではの不自由さについて、女性の立場から意見はありますか。
トランスジェンダーの日常があまり知られてないという危機意識から、それを発信しようと思ってこの映画に出演したわけですが、今、女性としての日常を送っているなかで、実は女性のリアルも全然発信されていないと感じていて。というのも、基本、世の中の常識って、男性の常識を中心につくられがちになっていると感じるんです。
ほとんどの女性が日常で困難に感じていることがあまり発信されていないように思います。たとえば、キャッチとか強引なナンパとか、通りすがりのセクハラまがいの声かけとかが街で普通にあったりしますが、当事者にならないとわからないくらい怖かったりするわけで。
――確かに女性からしたら、かなり威圧的というか恐怖を感じる乱暴な行為ですよね。
私は自分が性別移行するまで、女性専用車両の必要性があまり理解できなかったんです。でも、自分が女性として生活してみるとやっぱり必要だと思うし、そうやって一人称に立ってみないとわからないことに対して、もっと私も関心を持っていかないといけないと思いました。
今、私が働いている建築業界はデザインの部門ですが、建設現場によっては女性を見る機会がほとんどないといいます。小さな現場などでは、女性が働いていることを想定していなくて、女性用の仮設トイレや更衣所が用意されていない現場も少なくないといいます。
実際に男性用・女性用それぞれのトイレを2つ用意できるかどうかは別として、「いない」ことにされているのと、「いる」ことが認識されているのとでは全然違うと思うんです。ジェンダーの問題に限らず、今「いない」ことにされている存在がいる、という認識はどんどん広まって欲しいです。
自分らしくなくていい決断をすることのほうが困難な時代
――そういったことを含め、改めて「自分で決める」ことの大事さをこの映画から受け取りました。
今って、自分らしくあることのほうが楽というか、自分らしくなくていい決断をすることのほうが困難な時代なのだと思います。 どうしても“○○らしさ”を求められてしまうなかで、人と違う部分を強調することは簡単ではあるけど、それは本当に自分で決めた自分らしさなのか。内からにじみ出てきたものなのか、取ってつけたものなのか、自分としっかり向かい合い、自分で決められる社会になればいいと思います。
【サリー楓】 ’93年、京都生まれ、福岡育ち。建築学科卒業後、現在は建築のデザインやコンサルティング、ブランディングからファッションモデルまで多岐にわたって活動。トランスジェンダーの当事者としてLGBTに関する講演会も行う。公式HP
映画『息子のままで、女子になる』制作・監督・撮影・編集/杉岡太樹 出演/サリー楓 Steven Haynes 西村宏堂 JobRainbow 小林博人 西原さつき はるな愛
<文/中村裕一 写真/林紘輝 ヘアー&メイク/TAYA> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 中村裕一 Twitter⇒@Yuichitter
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