みなさん、一度は「うだつが上がらない」という表現を聞いたことがあると思います。「出世が中々できない、金銭的に恵まれる状況にならない」という意味で使われていますが、さて、「うだつ」って何なのでしょう?徳島県美馬市脇町(わきまち)では、この表現のもとになった「うだつ」を間近で見ることができます。実はこの「うだつ」、それはそれはとっても歴史があり、そして見事な芸術品ともいえるものだったのです…。
うだつとは?
うだつとは、隣り合った町屋が隣家からの火事で燃え移るのを防ぐための防火壁のこと。ただ、江戸時代中期頃ころは装飾として取り付けられることが多くなりました。人々は自分の財力を見せるために、このうだつを立派なものにしていったのです。
なぜ、うだつの町並みが徳島・脇町に?
脇町は元々から藍染めで有名な町でした。その上、繭を使った養蚕も盛んで、その二大産業を吉野川で運ぶ積出し港としての機能も果たしていたため、豪商たちが栄華を極め、うだつが立派になっていったのです。
400メートルにわたって江戸時代の街並みを楽しめるこの脇町は、昭和63年12月に国指定重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
おもな見どころ
藍商佐直 吉田家住宅
うだつの町並みの中でも約600坪という最大の床面積を誇る吉田家住宅は、豪商として繁栄した「佐川屋直兵衛」のお屋敷です。母屋や蔵など5棟が中庭を囲んで建てられています。見学料510円を払えば、内部も見学可能。建築様式や当時の豪商の暮らしぶりを感じることができます。
建物は立派な柱で支えられています。この大きな太い柱からも、どれだけ藍染めで栄えていた町なのかということが理解できます。
当時のお手洗いや台所の様子も見ることができます。左のお手洗い、とてもきれいな伊万里焼なのだとか…現代のトイレよりも豪華ですね!(もちろん見学者はここで用を足せません!)
蔵は資料館となっており、出自は不明ながらも江戸時代にこの脇町にある女性が嫁入りをするときに使われたという籠もありました。
美馬市観光協会
脇町にある美馬市の観光協会は、洋館風です。うだつの町並みに関する写真パネルが置いてある資料館としても役割を担っています。地図や観光の情報を手に入れることもできます。
国見家住宅
国見家は宝永4年(1707年)に建てられた、脇町の通りで最古の建物です。当時の敷地は表通りから当時の吉野川に達する広いもので、川岸に門があり、そのまま吉野川の船着き場に出ることもできたのだとか!
森家住宅
森家は16世紀後半から18世紀半ばに醸造業で栄華を極めました。明治13年に建て替えたこの屋敷では、7代目当主が郵便局長を拝命した関係で郵便局として使用されました。
郵便窓口がそのままの形で残されているのを見ることができます。また、9代目の当主は医院を開業し、その後昭和29年まで診療を続けていたため、開業当時の診療施設が現在でも保存されています。
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素敵な藍染めが揃ってる!和雑貨店「うだつや」
徳島と言えば藍染。そしてこの脇町の繁栄に一役買ったのも藍染。藍染のアイテムを沢山取り揃えているのがこの「うだつや」さんです。コースターといった数百円台のものから、スカーフやエプロンなどといった本格的なギフトに使えそうな物までたくさんの藍染製品があります。
竹細工で徳島のあの「風景」を買って帰る? 「時代屋」
徳島は古くから竹細工が有名。繊細な竹細工で阿波踊りのにぎわいを表現した作品をここで手に入れることができます。触ってしまうと壊れてしまいそうな繊細さ!作成しているところも見学することができます。