私たちの生活において銀行口座はとても重要な役割を果たしています。給与の振り込み、クレジットカードやデビットカードでの決済引き落とし、携帯料金の支払いなどにも基本的に銀行口座が必要です。多くの人が「メインの銀行に同一名義で複数の口座を開設することができれば、目的ごとに分類できてより便利になるのでは」と感じているのではないでしょうか。とはいえ、現時点では「同一の銀行において1人の名義で1つの口座が開設可能」というのが共通したルールです。なぜそのようなルールになったのでしょう?
なぜ複数口座作れない?その理由
以前は、個人が同一銀行において1人の名義で複数の口座を作ることが可能でした。しかし現在では、原則的にはすべての金融機関において「同一名義人に関しては1つの口座のみ開設できる」という規則の下で運用されています。それはおもに以下のような理由です。
使わない口座が金融犯罪に使われる?
近年、闇金業者が資金管理用として、ほとんど使用されていない口座を売買するという事例が増えてきています。また、架空請求や振り込め詐欺などの犯罪において、長年未使用となっていた口座がインターネットを通じて転売され、それが犯罪グループにより振込先として利用されるというケースも見られます。
そうした犯罪の温床となるリスクを回避するため、多くの金融機関は1名義人に1つの口座というルールを設けている一面もあります。一定期間口座の利用がなく残高が1万円にも満たないなど非常に少ない場合、名義人に通知をせずに休眠預金となることがあります。ほかにも、管理手数料を徴収したりするという独自のシステムを採用している銀行もあります。
預金保険制度で損をする?
また預金者の立場からしても、一つの銀行に同一名義1口座までの方が安全です。社会のインフラを担う銀行ですが、企業なので倒産の可能性がないとも言えません。預金保険制度は万が一預金先の銀行が破綻した場合、預金を保護してくれる制度です。利息が付く普通預金や定期預金などは預金者1人当たり元本1,000万円とその利息等が保護されます。
この預金保険制度では、もし同一名義で複数口座持っていた場合それらが合計された金額に対して、元本1,000万円とその利息等の保護が適用されます。つまり仮に5,000万円持っていたら、1,000万円ずつ5つの銀行に預金したほうが安全ですよね。こういった点からも、同一名義は1つの口座のみというルールで運営されているのではないでしょうか。