投資を勉強し始めると、なんだか自分でも簡単にできそうに錯覚し、早く実践してみたくなります。特に、これまで仕事で結果を出してきた人の中には、「自分は投資について相当勉強しているから」と、投資経験が少ないうちから無理な投資に走る人もいます。しかし、投資はお金を楽に増やすための手段ではありません。このことは常に意識しておく必要があります。

>>コロナ禍で変化はあった?「お金」「資産運用」に関する読者アンケート実施中(所要時間1~2分程度)

お金に関する知識は豊富だが

(写真=PIXTA)

資産運用について相談に来られた会社員のFさん(45)も、自分なりにお金の本を何冊も読んでいるらしく、知識は豊富な方でした。貯金額は約700万円とそれなりにありましたが、Fさんの収入と独身で実家暮らしということを考えればもう少し多くてもいいように思われました。実際、本人も同僚と比べて貯金額が少ないことを気にしていました。

まず、格安スマホへの乗り換えや固定費の削減など、支出を減らせばFさんならすぐ貯金が増えますとお伝えしましたが、地道な節約には乗り気でないようです。

話を聞いているうちに、どうやら今ある貯金を投資に回したいらしく、さらに投資方法もある程度決めていることがわかりました。要は、専門家に自分の投資に関してGOサインを出して欲しいのです。

実際の投資に関しては、1時間の相談で○○や▲▲で運用してくださいと言えるようなものではありません。貯金や国債などの安全資産とリスク資産のバランスや、分散投資の重要性をお話ししたあと、今後数ヵ月かけて運用方法を考えていく約束をしてその日の面談は終了しました。