新型コロナウイルスの影響は、まだまだ続いています。外出自粛やイベント中止などもあり、それまで普通に暮らしていた人が急に困窮してしまう事態も発生しているようです。

コロナ前はリッチだったのに突然……Tさんのケース

(写真=New Africa /stock.adobe.com)

フリーランスのボイストレーナーとして活動するTさん。以前は毎月50万円前後あった収入が、わずか数万円まで減ってしまいました。

仕事柄マスクをつけて行うわけにもいかず、新型コロナウイルスの流行に伴って、普段のレッスンや土日に行っていた小規模ライブも中止に。

なんとか収入を確保しようと動画サイトでレッスンを配信するなどし始めたそうですが、慣れない作業が多いうえにすぐに大きな収益が上がるわけでもなく、苦戦しています。

多少の貯金はあったとしても、ほぼ無収入で大幅な赤字になる月が何ヵ月も続くと、精神的に参ってしまう方も少なくありません。

仕事は減ってないけど……Aさんのケース

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Aさんは中小企業の正社員として営業事務の仕事をしています。コロナ禍でも会社は休業にならず今までどおり働き、月収も今までどおりです。

そんなAさんがなぜお金に困ったのかというと、「ボーナス払いに頼りすぎていたから」です。Aさんの月収は変わりませんでしたが、会社の業績悪化の影響でボーナスは前年の手取り35万円から10万円にダウンしました。

ちょっと高価な買い物はすべてクレジットカードでボーナス払いにしていたAさんの家計は、たちまち赤字になってしまいました。

コロナ前からギリギリだった人にもしわ寄せが……Sさんのケース

(写真=oka /stock.adobe.com)

Sさんは新型コロナウイルスが流行し始める前から苦しい生活を送っていました。ブラックな働き方を強いる会社で心身を壊しかけたため退職し、次の仕事を探しているときにコロナ禍に巻き込まれます。

仕事を探そうにも、急激に採用数を絞った会社も多く、アルバイトですらなかなか見つけることができません。ついに電気やガスが止められ、ホームレスになる危険性まで出てきました。

Sさんは意を決して市役所の窓口に相談に行きましたが、新型コロナで困窮した人で手一杯になっていて、なかなか対応してもらえなかったそうです。支援制度自体も、新型コロナ関連の人の方が充実しています。

困ったSさんは社会福祉協議会、自立生活支援センター、生活困窮者支援のNPOなど、あらゆるところに相談。結果、緊急小口資金として無利子の融資を受けることができました。これでしばらくはしのげますが、この先の暮らしには不安が残ります。

誰もが初めての不測の事態。困窮しないためにできること

(写真=lastpresent /stock.adobe.com)

新型ウイルスだけでなく、地震や水害なども近年頻発しています。どんな人でも、ふとした瞬間に非常事態に巻き込まれて困窮してしまう可能性はあります。

非常事態が発生しても困らないようにするためには、いつでも何にでも自由に使える「貯金」がやはり役立ちます。「今は全然できていない」という方はまず生活費の3~6ヵ月分程度を目標に、これから貯めていくようにしましょう。

また、貯金より難しいかもしれませんが、いつでもどんな状況でもお金を稼げるスキルを身に付けておくことも強力な危機対策になります。

もし貯金も保険もない状態で、なんとか生活を切り詰めて、それでも困ってしまったら迷わず国や自治体などが実施している支援制度を頼りましょう。今回の新型コロナに限らず、給付金、無利子貸付など、その場をしのいでいつか復活できるようにするための制度が数多く用意されていますよ。
 
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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