本格的な山登りをしてみたいけど、低い山だとハイキング程度しか楽しめないと思っていませんか?でもじつは東京近郊にある標高1,000m未満の山でも、しっかり登山が楽しめちゃうんです。しかも都市部ならではの利便性を生かし、電車でアクセスできる3つの山のコースをまとめてご紹介します。
1.筑波山(茨城県つくば市)
筑波山といえば関東平野にそびえる百名山で、男体山と女体山の2つの峰からなっています。ケーブルカーやロープウェイもあり、手軽にハイキングができるイメージが強いですよね。ですが行きも帰りもしっかり歩くと、けっこう本格的な山登りができちゃいます。いくつかのコースがあるので、登りと下りを別々のコースにすることで、いろんなバリエーションが楽しめます。
筑波山までのアクセス
筑波山へ行くには、つくばエクスプレス(TX)の「つくば駅」で下車します。「つくば駅」までは「秋葉原駅」から快速で45分ほど。駅前の「つくばセンターバス停」からは筑波山行きのシャトルバスが出ており、所要時間は約40~50分です。平日は時期によっても異なりますが、土日は大体30分おきに出発しています。
筑波山行きバス案内
筑波山行のシャトルバスの時刻表はこちら
筆者の実際のルートとかかった時間
筑波山神社~御幸ヶ原(みゆきがはら)コース〜男体山頂〜山頂連絡路〜女体山頂〜白雲橋コース〜筑波山神社のコースで登山を行い、所要時間は、休憩を含めて5時間半ほどでした。
コースの主な流れ
【1】筑波山神社を出発
筑波山神社に登山の安全を祈願して奥の階段を上っていくと、御幸ヶ原コースの登山道入口があります。
はじめは気持ちのいい森林ウォークでスタートしますが、次第に急な登りになっていきます。御幸ヶ原コースは筑波山の登山コースの中でもハードなコース。気軽なハイキングのつもりで行くとけっこうキツいかも?!
【2】ケーブルカーのすれ違い
御幸ヶ原コースのちょうど中間地点あたりで、上りと下りのケーブルカーがすれ違う場面を見ることができます。ゴトゴトとやってきた2台のケーブルカーが行き交うところを、目の前で見るのは迫力満点!乗り物ファンじゃなくてもワクワクしちゃいます。
【3】男女川(みなのがわ)源流付近を通過
男女川は古くから歌にも詠まれてきた川。
『小倉百人一首』には、
筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
(筑波山の峰から流れ落ちるみなの川が、積もり積もってついには深い淵となるように、私の恋も積もり積もって淵のように深くなったことだ。)
という陽成院(ようぜいいん)の歌が収められています。
さらに登山道を歩いて行くと、こんなハート型の石を見つけました!小さな発見をしながら歩くのも、山の楽しみのひとつですね!
【4】御幸ヶ原に到着
登り始めて1時間半ほどで、山上の御幸ヶ原に到着。ケーブルカーの「筑波山頂駅」や売店などがあるほか、展望が開けているので、天気がよい日は素晴らしい景色を楽しむことができます。
【5】男体山頂(871m)
御幸ヶ原からそのまま男体山頂へと向かいます。ほんの15分ほどであっという間に到着!
ふたたび御幸ヶ原へ戻り、お楽しみのランチタイム♪筆者はお昼を持参しましたが、売店で好きなメニューを楽しむのもいいですね。
【6】女体山頂(877m)
ランチの後は山頂連絡路を通り女体山へ。女体山の山頂は突き出した岩場になっており、なかなかのスリルです!岩の上に立って、遮るもののない関東平野を遠くまで見渡すのは爽快な気分です♪
【7】白雲橋コースを下山
帰りは登りとは別の「白雲橋コース」で下山します。じつはここは、さまざまな由来や言い伝えのある奇岩があちこちにあるコースなんです。
こちらは「母の胎内くぐり」。
そしてこちらが「弁慶七戻り」。今にも頭上の岩が落ちてきそうで、なかなかのスリルです!ここではあの弁慶も七戻りしたといわれています。
「白雲橋コース」の下りは、思いのほか急勾配が続きます。また筑波山は人気の山だけあって、下から登ってくる人もかなり多く、立ち止まって道を譲る場面もしばしば。基本的に「登り優先」ということを念頭に置きながら、ゆっくりと慎重に下りましょう。
「白雲橋コース」は、「弁慶茶屋跡」でつつじヶ丘へ下る「おたつ石コース」と分かれます。自分が下山したいポイントを間違えないよう気をつけてくださいね。筆者は「白雲橋コース」で下っていき、スタート地点でもあった筑波山神社へ戻りました。
筑波山のおすすめポイント
筑波山にはハイキング気分で歩けるものからちょっとハードなものまで、いろいろなコースがあります。それらを組み合わせることによって、さまざまなバリエーションを楽しむことができますよ♪
下山後に温泉を楽しみたいときは?
筑波山神社付近には、日帰り入浴のできる施設がいくつかあります。ただつくば駅へ戻るシャトルバスは30分~1時間に1本。しかも最終バスは季節によっては16時半頃と早いので、もし日帰り入浴をする場合は、早めに下山して温泉に立ち寄るのがいいでしょう。
2.高尾山から陣馬山(じんばさん)への縦走コース(東京都八王子市/神奈川県相模原市)
東京近郊で山といえば、まず思い浮かべるのは高尾山(599m)ではないでしょうか。世界一登山客の多い山といわれ、外国人観光客にとってもかなりメジャーな存在です。ケーブルカーやリフトもあり、気軽に楽しめるので、本格的な登山というイメージはあまりないかもしれません。
でもじつは高尾山の山頂から先は「奥高尾」と呼ばれ、いくつかの山を経由しながら、そのさらに奥にある陣馬山まで縦走登山ができちゃうんです!
高尾山への行き方
高尾山登山の起点となる「高尾山口駅」までは「新宿駅」から京王線で最速47分。ここから徒歩5分でケーブルカーとリフトの乗り場に到着します。
筆者の実際のルートとかかった時間
稲荷山コース〜高尾山頂〜小仏城山山頂〜景信山山頂〜陣馬山頂〜「陣馬高原下バス停」へ下山〜バスで「高尾駅」(「高尾山口駅」の隣駅)北口へのコースで登山を行い、高尾山を登り始めてから「陣馬高原下バス停」へ下山するまでの所要時間は、休憩も含めて約7時間半でした。
コースの主な流れ
【1】稲荷山コースで高尾山頂(599m)へ
まずは高尾山頂をめざします。ケーブルカーやリフトを使って行くことももちろんできますが、本格登山を楽しむなら高尾山も歩きでチャレンジしてみては? 1時間半ほどで山頂に到着です。
【2】奥高尾へ
さてここからいよいよ縦走スタート!高尾山頂から陣馬山頂まではおよそ5時間とあります。かなりの長丁場ですね。さらに陣馬山から「陣馬高原下バス停」まで下山しバスに乗るのですが、バスの本数は1時間に1本なので、それも考慮した上で登山計画を立てたほうがいいでしょう。
「陣馬高原下バス停」から「高尾駅北口」までのバスの時刻表はこちら
筆者が訪れた時期はちょうど桜が見頃で、縦走路のあちこちで満開の花を楽しみながら歩くことができました。縦走路は歩きやすく整備されていますが、階段のアップダウンの繰り返しが地味に足に響きます。
【3】小仏城山(670m)
小仏城山山頂で一休み。ここには茶屋があって、スペースもかなり広めです。おでんやなめこ汁などの文字についのんびりしたくなりますが、まだ先は長いのでガマンガマン・・。
ちなみにこの縦走路には、途中いくつかの茶屋があるのですが、平日だからなのか開いていない店もありました。どのあたりでお昼にするかにもよると思いますが、食料は事前にある程度用意したほうがいいと思います。
【4】景信山(727m)
景信山山頂に到着。ここにも茶屋があり、休憩スペースも広いです。筆者はここで早めのランチタイムにしました。
さてここから陣馬山頂までは5.7キロ。まだまだ長い道のりですね。
縦走路を歩いていると、途中何カ所もコースが二手に分かれているところがありました。比較的勾配のあるコースと緩やかなコースのようです。高尾山~陣馬山登山は全部で17キロほどのかなり長い道のり。少しでも体力を温存しながら歩きたい人は、緩やかな道を選ぶのがいいかもしれません。
【5】陣馬山(855m)
長い道のりを歩き、ようやく陣馬山頂に到着。この山頂のシンボルでもある白馬のモニュメントを目にしてほっと一息。山頂一帯はかなり広く、もちろん茶屋もありました。目的地まで歩ききったご褒美になめこ汁(¥300)をいただきます!長時間歩いた後なので、たっぷりの熱々なめこ汁が体に染み渡りました。
さてここからは「陣馬高原下バス停」まで下山。この下りがかなりの急勾配で、息を抜く間もなくただひたすら斜面を下りていきました。
バス停までは1時間ちょっと。バスターミナルのようになっており、ベンチやトイレもあるので、少し余裕をもって下りてのんびり待つのもいいと思います。そこから40分ほどバスに揺られ、「高尾駅」北口に到着です。
高尾山~陣馬山縦走コースのおすすめポイント
このコースは縦走ということもあって、所要時間はかなり長いです。ただ難所といえるような箇所はないので、「ハイキングではちょっと物足りない!」「もう少し本格的な山歩きをしてみたい!」という人にはとってもおすすめのコース!
またこのコースでは、天気がいいときれいな富士山の絶景を見ながら縦走を楽しめるんだそう!(この日はあいにくの曇り空で、筆者は残念ながら見ることはできませんでした)
今回は高尾山からスタートしましたが、このコースは陣馬山から高尾山をゴールに歩くこともできます。終点を高尾山にすれば、疲れ具合や歩くペースなどの状況に合わせて、ケーブルカーで下ることもできるので安心かもしれませんね。
3.岩殿山(いわどのさん/山梨県大月市)
岩殿山は東京スカイツリーと同じ634mの高さの山です。山頂まではそれほど時間はかからないので、そこからさらに足を延ばして、「稚児落し」という崖が切れ落ちたところまで行ってみるのがおすすめ!
岩殿山までの行き方
「新宿駅」より「高尾駅」乗換で約1時間半。JR中央本線「大月駅」で下車。