年収が上がり仕事が楽しくなった

(写真=筆者撮影)

くすい: ちなみに、転職されてから年収はどれくらい変わりましたか?

角田: サイバーエージェントに転職したときは、まだ社会人3年目だったのもあり、想像以上に上がったので驚きました。

エニタイムズを起業したばかりのときは、最初の1年間はエニタイムズでの給与設定はゼロにしていました。

大山: 2社目は基本給20万円だったのですが、自分の稼いだ金額の25%がボーナスになるという、すごく明確な給与制度でした。とはいえ、銀行の方が確実にもらえる金額は多かったですね。ただ、やればやるだけ給与に反映されるので、転職1年目には年収500万円くらい、2年目には1000万円くらいにアップ。社会人になって、初めて仕事が楽しいなと思いました。(笑)

野澤: 正直なところ、転職した時には年収は下がりました。ただ、その一方でお金に変えられない経験ができたので不満はありません。

私のミッションは、少数の社員しかいないベンチャー企業が、いかに効率よく事業を加速させていくかを考えることです。なので、自分の取り組みの効果が出てくると、給与交渉もできます。それは、大企業と違って経営者との距離が近いからこそできることかもしれません。

くすい: 角田さんは経営者ですが、給与交渉についていかがでしょうか?

角田: 企業が求めている人材であれば、交渉次第で希望の給与を支払うことはあります。 実際、エニタイムズでも採用時に「理念に共感するのでぜひ入社したいけれど、リスクもあるので現職の年収から10%アップできないか」と交渉されたことはあります。当時の会社の規模としてはかなり厳しかったのですが、私たちとしてはしっかり投資したい部分だったので、希望の年収をお支払いすることに決めました。

くすい: 経営者にしてみると、給与の交渉があっても「投資」と思えたら払うケースがある、と。交渉の余地があるのは大企業にはない、スタートアップの魅力かもしれませんね。

金融業界での経験は異業種に応用が効く

(写真=筆者撮影)

くすい: 金融機関で得たスキルや経験で、今に生きているものはありますか?

角田: スキルというよりも、固定観念や暗黙のルールなど、それまで見えていなかった社会の枠組みに気づいて、疑問や問題意識を持つことができたという経験は生きていますね。もし新卒でサイバーエージェントに入社していたら、いまだに気づかなかっただろうなという経験を積めたことが特に貴重でした。

また、社会課題を肌で感じる機会が多かったことも、今につながっていると思います。私は本店の資産管理部にいたのですが、お客さまの相続相談から派生して人生相談に乗ることもあったんです。それにより高齢者の孤独を知ることもできました。

大山: 私は2社目で、個人のお客さま向けに海外の投資にまつわるアドバイスをする仕事をしていました。その仕事を通して知り合ったお客さまが、私の起業にあたってこちらがお願いする前に出資してくださったんです。

それは、金融機関の顧客と担当営業という関係性があったからこそ。そうしたご縁を持てたことは、起業家としての進路を切り拓くにあたって大きかったなと思っています。

野澤: 私はコミュニケーションスキルが身についたと思います。金融機関はどの部署でもコミュニケーション能力に長けた人材が集まってくるので、どんな人ともうまく会話できると思うんですね。今、広報の仕事をしているので、そのスキルがとても生きているなと。大企業の広報は割と受け身な対応をするケースが多いのですが、中小企業はそうはいきません。

「うちはこういう会社なんです」と積極的な宣伝、いわゆるメディアキャラバンをしなくてはいけません。それができるのは、野村證券でコミュニケーション能力と営業能力を培うことができたからこそだと思います。

後編では「金融女性のこれからのキャリア」を語り合う

デリケートな質問にも、オープンかつ自然体で答えてくださったお三方。そうした姿からも、現在の仕事が充実している様子がうかがええました。

パネルディスカッションの後編では、「金融女性のこれからのキャリア」への提言などたっぷり語っていただきます。(パネルディスカッション後編に続く)

文・末吉陽子(フリーランス編集者・ライター)/DAILY ANDS

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