一般的に、子供が独立し教育費がかからなくなる50代は、老後資金を貯める最後のチャンスです。では、世の中の50代は毎月どのぐらい貯金をしているのでしょうか。今回は50代の平均的な貯金額と、平均に満たない場合のお金の貯め方をご紹介します。
50代の年間貯金額は約180万円
総務省統計局が2020年に発表した「家計調査年報」によると、50代の平均年収は701万5,932円、年収から税金や社会保険料を除いた可処分所得は560万3,928円、そして年間貯蓄額は180万372円でした。
ボーナスの額は会社によって異なりますが、仮に年間のボーナスを給与の5ヵ月分とすると、ボーナス1回あたりの手取り額は約80万円(560万円÷(12+5ヵ月)×2.5ヵ月)になります。ボーナスの半分を貯金すると、1回のボーナスにつき40万円、さらにそれが年2回なので80万円貯金できる計算になります。
年間貯蓄額は約180万円ですので、ボーナスからの貯金を除いた貯金額は180万円-80万円=100万円ほど。結局、50代の人は毎月平均して100万÷12ヵ月≒8万3,000円程度貯金していると推測できます。
平均に満たない人はどう貯める?
50代は支出を見直すタイミング
一口に50代と言っても、収入だけでなく、家族構成や家庭環境などが大きく異なりますので、一概にいくら貯金していればいいとは言えません。しかし、上記の平均貯金額8万3,000円に大きく届かない人は、少しでも近づくために努力しましょう。
まず、最も効果が大きいのが支出の見直しです。食費や被服費、また交際費など、地位や立場が上がるにしたがって知らず知らずのうちに贅沢になっていないか見直しましょう。
50代で支出を見直すことは、貯金を増やしていくという目的以外に、老後の生活水準を下げる効果も期待できます。
自動積立口座を作る
支出を見直したあとにやっていただきたいのが、自動積立口座を作ることです。例えば、今の支出から頑張れば2万円節約できるとします。最初の数ヶ月はきちんと2万円を貯金につなげられたとしても、しばらくすると元の生活に戻るか他の支出が増えるかなどして、結局貯金をしなくなるのはよくあることです。そうならないためにも、まず毎月強制的に別口座にお金が貯まるようなシステムを作りましょう。
iDeCoなどを利用する
貯金をする目的が老後資金の形成なら、iDeCoの利用も考えてみましょう。iDeCoでは普通に貯金や投資する場合に比べ、さまざまな税制優遇が受けられます。会社員の方であれば、掛金の上限額は会社の年金制度に応じて月1万2,000円から2万3,000円となっていますので、負担になることは無いはずです。
60歳から受け取るには10年以上の加入期間が必要ですが、50代のどのタイミングで始めても、遅くとも65歳から受け取ることができます。
収入が少ない人は毎月15%を目標に
最初に50代の平均年収と可処分所得をご紹介しましたが、そもそも年収が平均より少なく、周りの人より貯金をするのが難しいという人もいるでしょう。そういう人は、毎月8万3,000円という金額にこだわり過ぎなくていいのですが、収入が少ないからといってまったく貯金をしなくていいことにはなりません。
今の収入が少なくても、老後はやってきます。結局老後への対策は、生活を質素にし、貯金をするしかありません。収入が少ないなりにきちんと支出も抑え、まずは手取りの15%を目標に貯金をしてみてください。
50代の貯金で老後の生活が決まる
50代というと、子供が独立し、ようやく自分たちのためにお金が使える時期になる家庭も多いと思います。しかし、50代は老後のための資金を貯める最後の期間でもあります。退職後も生活は10年、20年と続きますので、その期間の生活を見据え、計画的に貯金をしていきましょう。
文・松岡紀史
肩書・ライツワードFP事務所代表/ファイナンシャルプランナー
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。
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