貯金は必要性や危険性に気付いてから始めても、手遅れであることがほとんどです。「貯金がゼロ」という方は、すぐにでも貯金をスタートしてほしいと思います。

とはいえ「なかなか始められない」「続かない」という方も多いでしょう。でも、あなたが貯金できないのは「やり方を知らない」だけかもしれません。そこで今回は、貯金ゼロの方でもゆる~くできる貯金のコツやおすすめの貯金方法などをお伝えします。

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まずはチェック!“貯金ゼロ”の人はどのくらいいる?

まずは、世の中の人がどのくらい貯金をしているのかチェックしてみましょう。

知るぽると(金融広報中央委員会)の令和元年「家計の金融行動に関する世論調査」によると、年代別・年収別の貯金ゼロの人の割合は、それぞれ以下のようになっています。

・年代別

二人以上世帯 単身世帯
20代 22.9% 45.2%
30代 15.8% 36.5%
40代 18.7% 40.5%
50代 21.8% 37.2%
60代 23.7% 29.8%

・年収別

二人以上世帯 単身世帯
300万円未満 39.1% 42.5%
300万~500万円未満 20.9% 28.1%
500万~750万円未満 13.5% 15.7%
750万~1,000万円未満 9.7% 4.5%
1,000万~1,200万円未満 10.3% 0%
1,200万円以上 5.1% 11.8%

若くて年収が低く、結婚していない人ほど貯金が少ない傾向があります。やはり「貯金ゼロ」というのは、多くの年代において少数派であることがわかりますね。

これを見て焦った方は、次の3ステップで貯金をスタートしましょう。

貯金ゼロを脱却!3ステップ

ここからは、3ステップで貯金のコツややり方をご紹介します。興味のあるところだけでもいいので読んで、貯金のヒントを得てください。「貯金ゼロの人」や「貯金が苦手な人」こそ、今すぐにできることから着手しましょう!

  • STEP1:がんばりすぎないために、貯金のコツを知る
    まずは貯金を続けるための“心の持ち方”など、コツを知ることから始めましょう。貯金との向き合い方がわかれば、貯金ゼロの人もがんばりすぎることなく貯金できるようになるはずです。

・STEP2:具体的に貯金をスタートする
STEP2では、初心者が取り組みやすい貯金方法をお伝えします。簡単なものばかりを紹介しますので、「できそう」と思ったらすぐに始めてください。

・STEP3:貯金に挫折しそうな時の解決方法を知る
最後に、「貯金に挫折しそうになってしまった時」に試してほしい解決方法をお伝えします。貯金を継続させるためにも、ぜひ知っておきましょう。

STEP1から順番に、詳しく解説していきます!

STEP1:がんばりすぎないために、貯金のコツを知る

例えばダイエットなどは、多くの人が途中で諦めます。その理由は、突き詰めれば「がんばりすぎたから」です。がんばるのは良いことですが、続かないなら意味がありません。かえってリバウンドしてしまうのがオチです。

“たまに1日10キロ走るより、毎日1キロを確実に歩く”ような姿勢で、貯金にも取り組みましょう。そのためにも、貯金に対する心の持ち方のコツを知る必要があります。

貯金ゼロの人や貯金が苦手な人に向けた5つのコツを紹介しますので、貯金に対する考え方や取り組み方のヒントにしてください。

1. 貯金が未来の何に必要か考える
2. 今まで貯金できなかった理由を考える
3. 習慣化(日常化)
4. セットで家計簿をつけ始める
5. 貯金ができた時のメリットを想像する

貯金のコツ1. 貯金が未来の何に必要か考える

まずは「貯金が未来の何に必要か考える」ことが大切です。

そもそもなぜ貯金を始めるのでしょうか。この理由が「何となく貯めたい」ではなかなか続かないでしょう。例えば老後のためや教育費のため、旅行のためといったことから始め、さらに詳しい未来の使途をイメージしましょう。貯金をする理由を明確に考えることが重要です。

この理屈は子どもの頃の勉強と同じです。どんなに親や先生から「勉強しなさい」と言われても、子ども自身が「なぜ勉強するのか」という理由がしっかり分かっていなければ、勉強も続きませんし、たとえ続いても身が入らず学力は上がらないでしょう。

人間は、その行動に対する意味や行動後の効果が分からないことは続けられないものです。

最初から大きな理由(目標)を決めるとゴールが遠すぎて続かなくなるかもしれませんから、まずは「10万円貯めて友達と旅行に行く」といった大きすぎない目標・使途の設定から始めるといいかもしれません。

貯金のコツ2. 今まで貯金できなかった理由を考える

次に、「貯金ができなかった原因」をしっかり考えてみることが大切です。

例えば「年収が低かったから」が理由なら、転職や副業で年収を上げれば貯金できるようになるでしょう。「すぐに使ってしまう」なら、何らかの引き落としで強制的に貯まる仕組みを作れば貯金できるはずです。理由が何であれ、必ず原因があるはずですから、そこから解決策を考えましょう。

貯金ができなかった理由や原因と向き合うのは、簡単ではありません。なぜなら、解決するための行動が必要になるからです。簡単に解決できるような原因ではないことが多いので、放置してしまう人が多いのが実情です。でも、放置していては何も変わりませんから、ここは少しだけがんばりましょう。

貯金は始めるのが早いほど多く貯まり、遅くなるほど必要額を貯めるのが難しくなります。ですから、早めに原因と解決策を考えて、行動に移すべきなのです。

貯金のコツ3. 習慣化(日常化)

次のコツは「習慣化」です。

人間とは、どうしても年齢を重ねるほどに柔軟性が失われ、目新しいものに拒絶反応を示します。それだけに、たまにしかやらないような事は面倒だと感じやすく、途中で諦めてしまう傾向があります。

このため、早急に貯金を“習慣化”してしまうことが大切です。がんばりすぎると続きませんから、最初は「500円玉貯金」などが良いかもしれません。まずは「貯金をする」という行動を習慣化、日常化することが先決です。

家に帰ったら貯金する、土曜の朝に貯金する、といったようにルーティン化しましょう。貯金を、歯を磨いたりシャワーを浴びたりといった日常的な行動の一つにすればいいのです。早急に貯金グセを定着させましょう。

貯金のコツ4. セットで家計簿をつけ始める

貯金とセットで「家計簿をつけ始める」こともおすすめです。

貯金が続かない人にはハードルが高いようにも感じるかもしれませんが、少なくとも家計簿を付けるのにはお金はかかりません。続けられるかは気持ち次第と言えます。

セットで家計簿を付ければ、それだけお金のことを考え、意識する機会が増えます。自然と家計管理の意識も高まります。そうなれば当初の予定以上にお金を貯めることも十分可能になるはずです。

筆者としてはむしろ家計簿を付けることは、貯金を続けることと同じくらい大切で、重要と考えています。

何年、何十年後かに起こる「定年後の老後生活」をイメージして、貯金と家計管理の重要性をしっかり考え実行しましょう。

貯金のコツ5. 貯金ができた時のメリットを想像する

ダイエットと同じで、「成功後の状態」を想像することもおすすめです。

例えばお金が5,000万円くらい貯まったら、あなたならどうしますか?多くの人が貯められそうにないと不安に感じている老後資金でさえ、あなたにとっては他人事になるでしょう。投資でさらに増やすこともできるでしょうし、生涯悠々自適な生活を送ることもできるはずです。

独身者なら結婚につなげることもできますし、既婚者なら将来の教育費やマイホームにも使えます。なんなら、パーっと贅沢に使ったっていいんです。どう使うかはあなたの自由ですし、貯金額が多いほど派手に使えます。

逆に……もし貯金ができないままなら?何もできないばかりか、食事さえ取れなくなるかもしれません。貯金がある自分とない自分、どちらのほうがいいかじっくり考えて、未来の自分のために貯金に励んでいきましょう。

STEP2:具体的に貯金をスタートする

STEP2では、実際に貯金をスタートします!

実は、貯金は簡単です。銀行口座や貯金箱にお金を入れて、使わなければいいだけだからです。貯金する金額は毎回違っていても構いません。まずは「貯金をする」という意識を持ち、早めにスタートすることが肝心です。

ここでは、貯金ゼロの人や貯金が苦手な人でも簡単に取り組める、おすすめの貯金方法を3つ紹介します。「できそう!」と思ったら、すぐにでも取り組みましょう!

1. 先取り貯金
2. おつり貯金
3. 500円玉貯金

おすすめ貯金方法1.「先取り貯金」すぐにお金を使ってしまう人におすすめ

ある程度の収入はあるけど計画や家計管理が苦手で、すぐにお金を使ってしまうような方は「先取り貯金」がおすすめです。お給料などが入ってきたら、先に今月貯めたい金額を別の銀行口座や貯金箱に入れましょう。

使ってしまわないように、あえて引き出しにくい地方の銀行口座を使ったり、壊さないと中身を出せない貯金箱を使ったりするのもおすすめです。

おすすめ貯金方法2.「おつり貯金」コツコツやれば思った以上に貯まるはず

「おつり貯金」も簡単でおすすめです。買い物をした時にもらえる小銭を、ひたすら貯めていきましょう。これは小学生くらいの子どもにもおすすめの方法ですが、大人がやっても効果的で、貯金の基本とも言える方法です。

毎日買い物をするたびにおつりを貯めていくと、思った以上に貯金が進むはずです。

おすすめ貯金方法3.「500円玉貯金」ちょっとずつ、でもしっかり貯めたい人向け

手軽な方法で多めに貯めたい場合は、「500円玉貯金」がおすすめです。小銭の中で最も金額が大きい“500円玉”を選ぶことで、手軽に大きな金額を貯めることができます。

仮に週に一度、500円玉を貯金し続けると、1ヵ月で約2,000円貯まります。これを1年続けると2万4,000円です。10年続けると24万円、50年続ければ120万円になります。

では次は週に一度ではなく、毎日貯金したらどうなるでしょうか。

1ヵ月なら500円×30日で1万5,000円貯まり、1年では500円×365日で18万2,500円貯まります。10年続けることができれば182万5,000円、50年続ければ912万5,000円になる計算です。

一回あたりわずか500円の貯金でも、長く続ければこれだけのまとまった貯金になることが分かっていただけたかと思います。長く続ければ十分な効果が期待できますから、特に貯金を挫折したことがある人は前向きに考えましょう。

STEP3:貯金に挫折しそうな時の解決方法を知る

STEP3では、挫折を防ぐための方法をチェックします。

貯金に不慣れな方なら、挫折しそうになることもあるでしょう。貯金は継続がとても大切なもの。挫折しそうな時には、以下の方法を試してみてください。

1. 貯金箱を破壊する

  1. 透明の貯金箱を用意する
  2. 友人を誘って飲みに行く
  3. ブランドショップに行く
  4. FPと顧問契約を結ぶ

 

一つひとつ解説していきますね。

貯金に挫折しそうな時の解決方法1. 貯金箱を破壊する

ストレスの元でしかないなら、貯金箱など壊しちゃいましょう。思いっきり壊せば、ストレスも発散できるかもしれません。銀行口座を使っているなら、解約してしまいましょう。

「失わないと価値が分からない」こともありますからね。冷静になって、やはり貯金箱や別の銀行口座が必要と思ったら、改めて新鮮な気持ちで用意しましょう。

貯金に挫折しそうな時の解決方法2. 透明の貯金箱を用意する

「開けた時のお楽しみ」が貯金箱ですが、普通の貯金箱は「いくら貯まっているか分からない」とも言えます。

開けるまで待てないなら、明けなくても中身が分かる透明の貯金箱を用意するといいでしょう。透明のCDボックスや、小型のクリアボックスなどで代用するのもアリです。これまでの成果がすぐに分かって、今後の励みにもなるでしょう。

また、銀行口座を貯金箱代わりにするのもおすすめです。

貯金に挫折しそうな時の解決方法3. 友人を誘って飲みに行く

時には気分転換も必要です。ダイエットでも、時には「ご褒美デー」を作ったほうが、成功しやすいと言われています。

1人でこっそり飲みに行くと「自堕落の始まり」になってしまうかもしれないので、監視役として友人を連れて行くのがおすすめです。貯金の話を肴に、息抜きしましょう。ついでに、その友人を貯金仲間にするのもいいのではないでしょうか。

貯金に挫折しそうな時の解決方法4. ブランドショップに行く

あなたの好きなブランドのショップに行きましょう。旅行会社にパンフレットをもらいに行くのもおすすめです。

これらは、目標を再確認する行為です。「何のために貯金しているのか」を、頭ではなく目に思い出させましょう。もしも目標が明確でなかったとしたら、そこで改めて目標を定めてもいいでしょう。

貯金に挫折しそうな時の解決方法5. FPと顧問契約を結ぶ

どうにも1人では無理そうなら、素直にプロの力を借りましょう。あなたに合う貯金の仕方を考えてくれるでしょうし、外部の監視役にもなってくれます。

どの道、今は老後に向けてたくさん貯金をしなければならない時代です。他のことでFPが必要になることもあります。貯金をきっかけに、FPに相談を始めるのもアリでしょう。

貯金できないままなら……あなたの未来はどうなる?

最後に一つだけ……。たしかに「貯金なんて意味ない」という方はいます。「宵越しの金は持たない」ことを「カッコいい」と思っている方も確かにいます。

しかし、そのような考え方の先に待ち受ける未来を考えたことはありますか?新型コロナで職を失った時、貯金がなかったら……。「貯金できないのはマズい」と考え、ぜひ“今日から”貯金を実践してみましょう。
 

文・婚活FP山本
一級FP技能士。CFP🄬 山本FPオフィス代表。商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て2008年8月に独立。現在は日本初の「婚活FP」として、婚活支援をしながら、婚活中の方や結婚直後の方など、主に比較的若い方のご相談を多数承っています。詳細は以下サイト、または「婚活FP」で検索ください。
HP :

>>コロナ禍で変化はあった?「お金」「資産運用」に関する読者アンケート実施中(所要時間1~2分程度)

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