宮城の小さな明治村・登米町。ハイカラな洋風建築物や蔵造りの商家など、明治を偲ばせる建物が多く現存し、散策が楽しい町です。宮城北東部を訪れる際に、ちょっと立ち寄りたいお散歩スポットと見どころ&楽しいお土産をご紹介します。
「みやぎの明治村」宮城県登米町(とよままち)とは?
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宮城県登米町は、宮城県北東部に位置し、町の中央を雄大な北上川が流れています。歴代の当主は仙台伊達藩の一門で、約1300年にわたって繁栄した町です。現在の登米町は、付近に豊かな田園地帯が広がるのどかな町になっています。
かつては独立した町でしたが、2005年の町村合併によって登米市の一部となり、「登米市(とめし)登米町(とよままち)」となりました。施設によって読み方も異なるので、少々混乱しますが、市・町の施設名称は、登米(とよま)小学校、登米(とよま)中学校と読み、国・県の施設に関しては、登米(とめ)高等学校、登米(とめ)警察署と使い分けされているそうです。
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町には、重要文化財となっている教育資料館や県の指定文化財になっている警察史料館などが点在し、その町並みから「みやぎの明治村」と呼ばれ、半日程度の散策にぴったりです。登米町を観光する際には、主な観光スポット6施設(以下【1】~【6】)に入館できる「6施設共通観覧券」を購入するとお得です。共通チケットの購入は、各施設や観光案内所で購入できます。
【1】教育資料館
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明治21年(1888年)、旧登米高等尋常小学校として建築され、設計は山添 喜三郎氏。山添氏は、日本人建築関係者の中で最初にヨーロッパに渡って洋風建築を学んだ大工さんで、100年を経た今でも寸分の狂いも生じない建築物であることから、建築界でも有名だそうです。
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木造2階建、素木造り、擬洋風建築で、2階のバルコニーが特徴的なコの字型の建物です。校舎の両翼には六角形を半分にした形の生徒用の昇降口があります。1989年に保存修復、復元され、教育資料館として一般に公開されています。向かって左手の昇降口が入場口になります。
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内部には、校長室や当時の教室が再現されているほか、戦前の教育についての資料や、戦前からの教科書などが展示されていて、見ごたえがあります。歩くときしむ廊下や、畳敷の家庭科室、建築当時のままのガラス窓のゆがみ、だるまストーブなど、歴史を感じさせてくれるものが、たくさんあります。
【2】水沢県庁記念館
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教育資料館から通りを挟んだ角に建つのが、水沢県庁記念館。入母屋造の屋根が立派な重厚な佇まいです。廃藩置県(はいはんちけん)に先駆け、現在の宮城県の北部と岩手県の南部を管轄する地域を「登米県」と称し、明治5年には登米町に県庁舎が設置され、明治8年まで使用されました。
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その後、改修を重ねながら、小学校や裁判所として長く使われていましたが、現在は「水沢県庁記念館」として一般に公開されています。純和風の日本建築ですが、館内には復元された議場席などもあり、明治を感じさせる雰囲気もあります。
【3】登米懐古館
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建築家・隈 研吾(くま けんご)氏の設計により移転新築した登米懐古館は、風情ある武家屋敷通りにあります。立派な表門から入ると、整然と整えられた日本庭園の中に、落ち着いた佇まいの懐古館が建っています。
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登米町産天然スレート葺きの屋根が周囲の風景と調和していて、館内に入場する前から魅せられてしまいます。館内には、登米伊達家ゆかりの甲冑や、刀剣、絵画など城下町であった当時を偲ばせる貴重な品々が展示されています。特に刀剣の鑑賞方法などはわかりやすく丁寧に解説されており、興味深い内容です。
【4】警察資料館
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警察資料館は、旧登米警察署庁舎で明治22年に落成した木造二階建ての建物です。教育資料館を手掛けた山添 喜三郎氏によるもので、昭和63年(1988年)には、県の文化財に指定されています。突き出した玄関の二階はバルコニーとなっていて、遠見台とも呼ばれ、船着き場や繁華街を見ることができたそうです。
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館内には、パトカーや白バイ、制服やサーベル、警察関係資料などの展示の他、取調室や明治の留置所なども復元されており、日本唯一の警察史料館として、見ごたえのある観光スポットとなっています。