2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録された熊野古道。平安の時代から人々の信仰を多く集める歴史ある霊場熊野で、熊野三社と呼ばれる「熊野本宮大社」、「熊野那智大社」、「熊野速玉大社」の三社をピックアップして紹介します。
熊野三社を詣でる
熊野本宮大社
熊野詣でに訪れる人々が憧れる聖地「熊野本宮大社」。両側に杉の木が立ち並ぶ石段を登り神門をくぐると、檜皮葺きの荘厳な社殿が現れます。社殿の中央には主神である家津美御子神(けつみみのかみ)が祀られ、右に天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)、左の社殿に牟須美神(むすみかみ)、速玉神(はやたまのかみ)が祀られています。主神の家津美御子神は木の神として崇められており、紀伊の国の名前の由来となったとされています。
熊野三社の中でもとりわけ古式床しい雰囲気の本宮大社ですが、もともとは熊野川の中洲である大斎原に鎮座していました。ですが明治22年の熊野川の大洪水により社殿の一部が流出してしまい、現在の場所に流出を免れた社殿を移築されました。
そして、熊野本宮大社と言えばシンボルでもある八咫烏(やたがらす)が目を引きます。日本神話で神武天皇を大和から橿原まで案内したとされる三本足のカラスとして、導きの神としても信仰を集めており、熊野大神に仕える存在として熊野のシンボルとなっています。また、よくボールをゴールに導くようにとの願いを込めて、サッカー日本代表のエンブレムとして使用されている事でも有名です。
熊野那智大社
日本三名瀑に数えられる「那智の滝」を信仰する自然崇拝が起源とされています。歴史は古く現在の場所に社殿が建てられたのは4世紀仁徳天皇の時代と伝えられています。荘厳な造りの社殿は6棟あり、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)が主神として祀られています。
荘厳な社殿を中心に、八咫烏が石に姿を変えたと言われる「鳥石」や、樹齢850年を超えるとされる大楠、朱色が美しい三重の塔、日本の滝100選にも含まれる那智の滝など見どころ溢れる大社でもあります。
御神体として多くの信仰を集める那智の滝は、落差133mを誇る日本を代表する滝のひとつにかぞえられています。落差133mの那智の滝は一の滝とされ、那智の滝の上流には落差23mの二の滝と落差15mの三の滝がかかっており、三滝合わせて「那智の大滝」とも呼ばれます。
熊野速玉大社
本宮より熊野川を40km程下った熊野川の河口にある朱色の社殿が目を引く大社です。生命の根源である水の動きを神格化したと言われる主神の熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)が主神として祀られています。
昭和28年に再建された現在の社殿には、主神である熊野速玉大神と熊野夫須美大神の像を始め1,200点以上の国宝に指定されている古神宝類が奉納されております。