少子化の影響もあり、共働きで忙しい人も子どもの学校でPTA役員に選ばれてしまって断り切れなくなるケースが増えています。その中には、「仕事と家事だけでも大変なのに、PTA役員までこなしていけるだろうか」と不安にいなっている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、仕事とPTA役員を両立しなければならない人によくある悩みと対処法をご紹介します。

そもそもPTAって何をするの?

PTAとは「Parents Teacher Association」の略語で、子どもたちの親と教師や地域社会が協力し、子どもたちの成長や安全のためにさまざまな活動を行う機関を意味します。日本では第二次世界大戦後の1945年に、アメリカの指導によって始まりました。

PTAの活動や仕事の内容としては、会計や広報誌作成、ベルマークやリサイクル品の回収、登下校時の見守りや旗振り、防犯パトロールなどが一般的です。また、教育講演会等を開催するPTAもあり、学校や地域によって活動内容は異なります。さらに、同じPTA役員でも会長や部長と一般役員・一般委員では仕事内容や量が違うのです。

PTA役員を選出するにあたっては立候補や推薦された人の中から選ぶ他、候補者が少ない場合はくじ引きで決定する場合も多くあります。昔であれば、ワーキングマザーが「私はフルタイムで仕事をしているので、PTA役員はできません」と言える雰囲気もあり、周囲にも容認されていたかもしれません。しかし、共働き世帯が大半を占めるようになった現代では、「共働き」という理由だけでPTA役員を免除してもらえるケースは減っています。

仕事とPTAを両立できる人の特徴

仕事とPTA役員の両立は非常に難しいと思われがちですが、実際にはうまく両立できている人も存在します。この段落では、どのような人が仕事とPTA活動を両立できるのかについて紹介します。

勤務時間の融通が利く

PTAで役員が集まって会議や活動をする頻度や時間帯は地域によって異なります。場合によってはPTA役員が集まる機会がやたらと多かったり、LINEで話せば済むような内容をわざわざ集まって話し合ったりすることもあります。逆に、時間的に拘束される機会をできるだけ減らせるように、効率性を重視して活動しているPTAもあるでしょう。PTA役員の構成メンバーにワーキングマザーが多いかどうかによっても、活動の仕方が違ってくることもあります。

PTA役員が集まる機会が多い地域の場合は、勤務時間の都合をつけやすい職種の人でしょう。たとえば、自営業の人やリモートワーク、在宅で仕事をしている人などは、自分で仕事のペースを調整してPTAの集まりに出席することも比較的容易といえます。また、フレックスタイム制やシフト制の職場に勤務している人も、事前に予定がわかっていればPTAで集まる時間を確保しやすいでしょう。

PTAで得意分野の係を担当している

PTAで担当する役割が本業や得意分野と関連する内容であれば、PTA活動の負担は比較的、少なくなるかもしれません。たとえば、会社で経理部署に勤務している人が会計係を担当すれば、経理のスキルを活用できます。また、書類作成が得意な人が会議の資料作りを受け持ったり、出版社やウェブメディアで働いている人が会報誌作成係を担当したりというケースもあるでしょう。

まったくなじみのない分野の作業よりは、知識や経験のある作業を担当するほうが効率的といえます。PTA役員をどうしても引き受けなければいけない場合は、自分の得意分野の係を積極的に引き受けるほうが周りも助かるだけでなく、自分にとっても負担を減らせる結果になる場合があるのです。

まわりが共働きに理解がある

PTAはいくつかの部署に分かれて活動することが多く、同じ地域でも所属する部署の構成メンバーによって活動のし方が変わる場合があります。平日の日中は仕事がある人が多い部署なら、集まる機会を夜や休日にしたり、連絡はメールやLINEを主な手段にしたりするなど、活動する時間帯を調整できる場合もあるのです。

PTA役員に選ばれて何を担当するか決める際、「同じような生活パターンの人と同じ部署になるようにする」というのも、PTA活動と仕事の両立をしやすくする方法といえるでしょう。

仕事とPTAの両立が難しい理由

仕事とPTA活動の両立はやはり大変なことで、さまざまな問題に直面している人も多くいます。この段落では、仕事とPTA役員の両立が難しいと感じる主な理由を3つ紹介します。

平日昼間の会議に参加できない

PTAは日中に保護者が在宅していることを前提とした活動だといわれています。そのため、平日の昼間にPTAの会議が行われることも多く、その時間帯に仕事をしている親にとって、負担が大きくなっています。PTA活動に参加しなければならない日は早退したり有給休暇を取得したりする必要がありますが、職場の繁忙期などと時期が重複して都合がつかない場合もあるためです。

また、子どもや家族、自分自身の病気やけが、冠婚葬祭、役所や銀行の手続き等、仕事を休まなければならない機会はPTA活動以外にもあります。「これ以上、早退や欠勤できない」という状況になっている人にとっては、平日の昼間に拘束されるPTA活動は非常に難しいといえるでしょう。

PTAの仕事に割く時間がない

フルタイムで仕事をしながら家事や育児の大半を担っている人の場合、PTAの活動に割ける時間が物理的にない場合も多いでしょう。小さな子どもがいるワーキングマザーの一日をシミュレーションしてみるとわかります。

朝は家族の朝食を準備しながら洗濯も済ませ、出勤前に子どもを保育園や幼稚園に送り届けます。日中に忙しく働いた後は子どもを迎えに行って買い物をして帰り、急いで夕飯を作らなければなりません。その後もゆっくり休む時間はなく、子どもをお風呂に入れて寝かしつけたり、掃除をしたりしているうちに夜も更けていきます。睡眠時間さえ十分にとれない人もワーキングマザーには、珍しくありません。

そこに、PTAの仕事を無理やり入れるとしたら、仕事か家事のどちらかに、または、両方に影響が出て、さらにハードになることが容易に想像できます。せめて、PTA活動が夜か休日であれば少しは負担が減るかもしれませんが、自分の都合よりも組織の都合が優先されてしまうケースがほとんどです。

無駄な会議や非効率な業務が多い

子どもたちのために必要と思えばこそ、忙しい中で時間をやりくりしてPTA活動に貢献する気にもなれるでしょう。しかし、PTA活動の中には子どもたちに関係がないものや、無駄な会議なども含まれます。たとえば、行事やイベントの際の来賓接待やPTAの慰労会、新年会などの集まりは、子どもたちに直接関係するものではないため、「何のために貴重な時間を犠牲にして参加しなければならないのか」と感じる人も多いのではないでしょうか。

また、顔を合わせて話し合う必要がない議題の会議なども、「決まったことを報告・周知するだけなら、メールやLINEで十分なのに」と不満に感じる人が多いです。

必要な活動であっても、「無駄なおしゃべりが多くて、なかなか作業が進まない」等、非効率的なやり方にイライラする場合もあります。効率アップや業務のスリム化を提案してみても、PTAの上役等が「うちはこれまで、ずっと、このやり方・雰囲気でやってきたから」といった理由で慣習を変えたがらない場合も多いのです。

このように「無駄」と感じられる活動が多ければ、忙しい人ほど徒労感を覚えてしまうのも当然といえます。