銀行で日々お客様に接していると「銀行員にとっては知っていて当たり前な事柄」についての知識がないお客様が多数います。その中にはお客様自身が知らないと大きな不利益を被る可能性が高いものもあり、いざという場合に非常に困った事態に陥りかねません。そこで、今回は特にお客様が知らないと困る3つのケースを紹介しつつ、知らないことで困った事態に陥ることを防ぐために行うべき対処法についても解説します。
家族名義のキャッシュカードを使っているお客様
家族でも他者が口座名義人のキャッシュカードを使うのは規約違反
「ふだんから妻が夫のキャッシュカードを預かって使っている」といったお客様の話をよく聞きます。しかし、銀行員的には「それはまずい」と強く注意したいNG行為です。銀行の規約では、キャッシュカードはそのカードに記されている名義の本人だけに使用を認めています。そのため、たとえ家族でも口座名義人以外がキャッシュカードを使えば銀行の規約違反なのです。
最悪カード利用の差し止めまたは口座の強制解約に至る可能性もゼロではありません。
家族で口座のお金を共有したい場合は代理人キャッシュカードの作成を
実際には生活費を夫婦のいずれかの口座に入れている家庭も多いのではないでしょうか。また、高齢の親が要介護状態となり子どもが親の口座からお金を引き出すケースなどもあります。銀行ではそのようなケースを想定しており、同居の家族など口座名義人の認めた人が使える「代理人キャッシュカード」の作成が可能です。
現在、家族名義のカードを使用している人のうち、上記のケースに当てはまる場合は速やかに代理人カードを作成することを強くおすすめします。作成にあたって必要な書類や手続き方法については、口座のある金融機関へお問い合わせください。
「子ども名義の銀行口座は作れない」と思っているお客様
子ども名義の銀行口座は0歳から作れることを知らないお客様が多い
子育て世代のお客様でも、子ども名義の銀行口座を作っていない人もいます。その理由を尋ねると「子ども名義の銀行口座を作れない」と思っているケースが多いようです。しかし、子ども名義の銀行口座は、金融機関によっても異なりますが一般的には以下のようになっています。
- 0~14歳の子ども:親が口座開設可能(※銀行によっては開設できない場合もあります)
15歳以上の子ども:子ども自身が銀行口座を開設可能 元銀行員としては、ぜひ子どもの誕生を機に子ども名義の銀行口座を作り、有効に活用してほしいところです。
「子どもの将来に備えて貯蓄しておきたい」場合はぜひ子ども名義の口座を
特に子ども名義の口座開設をおすすめしたいのが「子どもの将来に備えて教育費などを貯蓄しておきたい」と親が感じているケースです。その場合は、ぜひ子ども名義の口座を作ることをおすすめします。ちなみに、0~14歳の子どもが口座を作る場合は、親権者と子ども双方の本人確認書類と子どもの銀行印が必要です。
一方、15歳以上の子どもであれば、子どもの本人確認書類と銀行印を用意すれば、窓口で手続きできます。
※ネット系の銀行は銀行印不要の場合もあります